熊野古道の旅ー02.無量寺、応挙芦雪館

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初めての駅だから、ぐずぐずと写真をとったり、きょろきょろ見たりしながら降りたが、小さな街だった。
駅の観光案内書で地図をもらった。
空は青い。天気は絶対大丈夫だ。とにかく、無量寺に急がねばならない。
「海に向かって右手の方やなあ」
「簡単やで、これ真っ直ぐ行ったらええはずや」
暫く歩くと大きな蘇鉄の木が見えて、寺のようなところに来た。
「ここやで」玄関先に、「無量寺」と書いた石がある。
「すみません。電話していた○○ですが、今日は本物の芦雪見れますか?」
かなり焦っている。折角来ても、「実は今日は事情があって・・・・」とか言われて見れなくなったら
困るので、何日か前に電話しておいたのだ。
「予約は必要ないけど、天気がよかったら見てもらえますよ」という話だった。
他に客はいない。ラッキーだ。ゆっくり見れる。
まずは、事務所の右側にある2間の展示室からだ。
「時間あるんだったらビデオも見て貰えますが・・」、「時間あります」思わず言ってしまった。
しかし、「このビデオ見たことあるで・・」、「テレビ番組でやってたやつや」、
「あんまりおもろないで・・」、「すぐ消したら悪いしなあ」、「そっと早送りしょう」
どんどん送って、見終わったことにした。さて実物を見よう。
「これも本物やん」、ここの寒山拾得は実にすばらしい。のびやかで自由だ。
柔らかい線が縦横自在に伸びている。
「腕もすごいけど、境地やね。境地で描いている」
応挙もある。「さすが応挙はゆるぎがないね」
いきなり圧倒されて身動きができない。隣に部屋には、白隠和尚もあって、この寺の所蔵品の
すごさを物語っている。
「こっちは終わりましたけど」
「じゃあ、収蔵庫に案内しましょうね」
鍵を開けて電気をつけてくれる。緊張の一瞬だ。
「おおっ」まず虎だ。あの虎だ。素晴らしい迫力だ。
「どないやって描いたんやろ」嘗めるように見てしまう。
「龍もすごいで」
「唐子の画も楽しそうやなあ」楽しく遊ぶ子達が画面から出てきそうだ。
「奈良県立美術館で見たことあるけど、ここで見るほうがすごいわ」
何時間でも居座りたい気持ちだ。
「では、本堂に行って、複製画ですが、本来の位置で見て貰いましょう」
画としての迫力は落ちるが、本来の寺での収まりかたが理解できるようになっている。
「ええもん見たなあ」
「この旅の目的の80%は終わったで」
本当に感動した。体の中にいっぱいエネルギーを充填してもらったような気持ちだ。
画はすぐにうまくなるわけではないけれど、こういう気持ちを足し合わせていくことが大事なのだ。

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