最近読んだ本、「甘夏とオリオン」、「線は僕を描く」

  • 2020.03.28
最近読んだ本、「甘夏とオリオン」、「線は僕を描く」

増山実、「甘夏とオリオン」

これはすばらしい。読みながら、絶対落語を聴きに行きたいって思った。
もちろんユーチューブでも聴いてみた。しかし、やっぱり寄席に行かんとあかんと
思った。
この本を読んでると、落語の世界の中から昔の上方の暮らしが沸き立つように立ち上がって
来る。文楽でも同じ気持ちになるんやけどそれよりは新しい。今の時代というか、
もう少し前、わしらの子どもの頃、昭和の中頃、そういう時代に繋がる、古き良き時代か
どうかはわからんけど、もう今の時代ではなくしてしまった大事なものがまだあった
時代だ。人と人との距離感が近い。世話焼きでお節介で涙もろくてお人好し、
やかましくておしつけがましくて勝手ぼしで、頑固者。そんな人たちばうじゃうじゃと
湧き出してくる。
それでとりあえず寄席に行ってみた。
もう何十年ぶりやろう。予備知識ありなしで聞きかたがえらいちがう。
もっと知恵がついたらもっと楽しめると思った。
これからもどんどん聞きに行くぞ。
そう思った矢先にコロナ騒ぎ。つぎに行けるのはいつのことやろう。
本の中では、桂夏之介の弟子にやっとしてもらえた甘夏の涙と笑いの大活劇が
始まった。
ある日、寄席の本番中に師匠の夏之介が失踪した。
どこへ消えたかさっぱりわからん。跡形も無い。
舞台はどうする?
弟子達の修行はどうする?
あてもなく探しまくる日が続く。
が何の成果もない。
それでも落語と共にある暮らしが続く。いつか帰ってくると信じて。
弟子達にもいろんな波乱が。
さて、甘夏はどうなる? 師匠は現れるのか?
とても面白い。
コロナが収まったら又寄席に行こう。

兎神裕将、「線は僕を描く」

わしが勉強してる水墨画の世界を描いた小説だ。
とても期待して読んでいた。
そうその通りと膝を打つところもあるけれど、異議ありと思うところも多くある。
青山霜介は行方定まらぬフラフラ暮らしをしてる。大学も恋愛も部活も気合いが入らない。
何かくらい影があるようなのか?
ある日、アルバイトで展覧会の準備を手伝った。その時の弁当が縁で水墨画の巨匠、篠田湖山と
出会ったと思ったら、なぜか内弟子になってしまった。
筆を握ることさえ初めての若者に。
見込みがあるという。わしが一人前にしてみせるという。
湖山には孫の千瑛がいる。新鋭の水墨画かだ。
1年後には2人の勝負がある。
さて、2人の息を飲む研鑽の日々が始まる。
なんとチャラい青春小説。
墨は五彩を現す。黒いだけの墨も描き用では薔薇の赤にも、山の緑にもなって
紙の上に色彩世界を描いて見せる。
線は命、線の描き様ひとつで蘭の花に水気がやどり、精気が立ち上がる。
まあ確かにそれはそうなんやけど、
絵はテクニックだけではなくてそこにおのずと現れる気品、風格、風雅の世界が大事で、
気韻漂うとはそのことなのだというのはそれも確かにそうなんやけど、
それと人間性を結びつけることが必ずしも正しいかどうかはわからんのではないやろか?
描かずに描く、余白の意味、それはなによりも大事なことなんやけど、とても難しい。
それをやるためには技術を身につけんとあかんのもその通り。
そうなんやけど、なんだか、日本の古典芸能やお稽古ごとの徒弟制度の世界みたいなんが
えらい盛り上がってる。
あんまり同意できへんなあ。
でも水墨画の世界もそうなんやろなあ。
わしは下手くそで異端者やからようわからん。

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ありがとうございました。