熊野古道、小辺路歩き、リベンジ編−11、三浦口、「農家民宿 政所」にて。

今宵の宿は、前回と同じ「農家民宿 政所」だ。去年、この橋にたどり着いたときは もう日が暮れかけていた。前のブログにも書いたように友達と出会うのに行き違いが あったのと一人の友だちが足を痛めて遅れ気味になってとうとう別々に山を下る ことになったからだ。心配した宿の方が車で迎えに来てくれてた。 今回は、まだ15時頃、余裕たっぷりだ。十分歩いて行く時間がある。 しかし、この暑さだ。宿まで歩いて多分20分ほど、日陰は殆どなさそうだ。 どうしよう。一回民宿まで電話して、去年みたいに迎えに来てもらおうかと既に 弱気になっている。 で、とにかく電話してみた。なんかおかしい。出えへん。 「おかしいな。この暑いのに農作業でもしてはるんかな?」 しばらくしたら電話がかかってきた。去年のあのおばあさんらしい。 「去年お世話になった〇〇です。」って言いながら迎えを頼むってお願いしたら。 なんと、「わたしは熱中症で病院に運ばれて、今、入院してる」と言うではないか。 誰か知り合いの人が留守番してるらしく、その人は事情がわからんから迎えに行かれへん。 歩いて来てもらうしかないと言うではないか。 えらいこっちゃ。しゃあない炎天下やけど元気を振り絞ってとぼとぼ歩く。 橋を渡ったとこで、民家の壊れかけた小屋があって軒下にわずかな日陰がある。 あそこでちょっと休んで一息ついてから又がんばろうと軒下の壊れたベンチに へたりこんだ。 座りながら色々考える。山の中とは言え、今こんなに暑くて、民宿のおばあちゃんが 熱中症になったということはこれからどうなんのやろ? わしらは今晩民宿に泊まれるんやろか? 去年、民宿はエアコンをつけてなかった。あったかなかったは記憶がない。 もし、エアコンがなかったら夜はどうなんのやろ? 一晩中寝られへんのちゃうやろか? 住人が熱中症で倒れるくらいなんてどんな夜を過ごさんならんのやろ? 心配はつのるばかりやけど、とにかく行かんとしゃあない。 がんばって歩こう、トンネルまで行ったら日陰がある。 歩き始めたとこへ車がやってきた。留守番の方が気をきかせて迎えに来てくれたのだ。 お言葉に甘えて載せていただく。車やと5分でつく。なんとわしらが泊まる部屋には エアコンが点いていた。「暑いでしょう。まあゆっくりしてください」 これはとてもありがたい。今晩の心配も要らなくなった。安心してビールを 飲める。 どうやらおばあちゃんも点滴が終わり次第戻って来るらしい。 やれやれだ。 ビールを飲んで思い切り休憩する。 ここは、伯母子岳と三浦峠に挟まれた山間のとても感じのよい場所だ。

日本南画院の公募展に出品した100号の作品もここの風景をヒントにしたものだ。 この民宿は奈良県の有形文化財に指定されている辻家の建物をそのまま民宿にして 当主の辻さんが運営している。このかたのお母さんが名物おばあちゃんでBS番組 にも登場された方だ。前回来た時には、友人を一人で山の中に置いて来たって 言うとことでえらい怒られた。「あいつは体力があってしっかりしたやつやから 大丈夫と思う」って言い訳すると、「大丈夫やなかったらどうすんの」、 「8時までに到着せえへんかったら消防団に連絡するから」って言われ、シュンと してたら、7時頃やっと到着したのだった。 このときのことを誤りつつ、よもやま話で花を咲かせたいって思ってたのに それどころやなくなってしまった。

残念ではあるがしょうがない。 飯の時間になった。おばあちゃんままだ帰らない。 わしらと同宿になるというスペイン人の男性が到着した。彼は小辺路ルートを 逆行してるんやけど山には登らずにバスを乗り継いで宿泊地だけをルート上に […]