ベトナム、ハノイ、マイチャウ、モクチャウ高原の旅−33、マイチャウの朝。

マイチャウ・ロッジというのはとても良いホテルだ。山に囲まれた池の畔にあって、 周りには稲田が広がっている。

とても気分の良い朝だ。こういう朝はスケッチブックを持って散歩するのが良い。 池の向こうの山に朝霧がたってとても良い感じになっている。山の景色は千変万化って 言うけどカンカン照りの中でくっきりした姿を見るより、霧の中で霞んで見えるような 見えへんような曖昧なのがええようだ。女性を見るときに心構えがおんなじ?

池の反対側には田んぼが広がっている。

この時点で日本ではまだ田植えが始まって無い頃だ。やっぱり南国は早い。 朝6時過ぎとはいえ、既に暑くなりかけてる。緑の色と草いきれがまとわりついてくるんが 悪くはない。田んぼのあいだを少数民族の村の方に歩いていってみよう。

村に続く一本道。 人が沢山でてきてる。みなで何か仕事をしてる、というより、していたらしい。もう 終わって片付けてるようだ。道路掃除なんか? 道路整備なんか? そんな共同作業が あったようだ。道具を持ってはる人もいてる。

大人もいれば子どももいてる。みなさんゾロゾロと村に帰っていく。 わしも一緒に村の方にいってスケッチしよう。みんな見るともなくわしの方を みてるけど話しかけてはこない。話しかけても通じへんちゅうのがようわかってはる。 日本の普通の田舎の風景ととても良く似てる。子どもの数が多いのが違うくらいか? こういう人たちが高床の家に住んでるんやろか? それともあれは観光用で今ではみんな普通の家に住んではるんやろか?

今どき冷房無しで暮らせるんやったらとてもええんやけどやっぱり厳しいやろなあって 思う。温暖化の影響かどうかはわからんけどだんだんと住みにくい世の中になったのか 我慢できへん人間になってきたのか? スケッチを終えて戻ろうと田んぼの間の道を歩いていたら、誰かが呼んでる気配がする。 振り返ってみたら自転車に乗った女の子とそのお母さんみたいな人がわしを 呼びながらこっちの方に急いでいるみたい。 立ち止まって待っている。 2人が追いついてきて、何を差し出してきた。ペンケースみたい。 わしはペンケース持ってないんでわしのではない。 「違う、違う、わしのんと違う」って手を降りながら身振りで言うけど、わからん みたい。下手な英語も通じへん。 身振り手振りで繰り返すけど、何か行き違いがある雰囲気だ。 よう聞いてみたら、どうもわしらの仲間が落としたらしい。なるほど日本人が 持つようなペンケースだ。しかもわしらの仲間はスケッチする人が多い。 わしら以外の観光客がこれを落としたとは考え難い。そこで、これを預かって 友人達に聞いてみようと思った。 ありがとうって礼をいいながら受け取った。 向こうもにっこりわらって渡してくれる。 けど、微妙に、「それだけかいっ」て空気が残る。 お礼をあげたほうがええんかなあってちらっと思ったけどわしのんとちゃうしなあって 言う気分もあった。 しかし、後でよう考えたらやっぱり何某かのお礼をあげるべきやったと反省した。 こういうときさっと気働きできへんのがわしの悪いクセだ。 それであとでグチグチ思う。 あきませんなあ。

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