最近読んだ本、「満州 軌跡の脱出」、「女王ロアーナ 上・下」

ポール・邦昭・マルヤマ、「満州 軌跡の脱出」 「170万同胞を救うべく立ち上がった3人の男たち」という副題がついているんで おもわず読むことにした。3人の男子たちとは丸山邦雄、新甫八郎、武蔵正道という 実在の人物でこの本はノンフィクションだ。 だいぶ前に、「流れる星は生きている」と言う「藤原てい」さんが書いた本を読んだ 事がある。乳飲み子と幼い子の二人をつれた母一人の壮絶な満州から日本への逃避行 の物語であった。あまりの壮絶さに泪が止まらない。そういう引き上げの苦労はなしが 色んな本になっているんでその後も気になって読んでいる。 しかし、どの本も戦争に破れ、満州から日本に引き上げるという前提があるうえでの 苦労話になっているけど、この本を読んでよくわかった。敗戦後の混乱の中では外地に 残った日本人をどうするかというのは国、地域によって大きな差があったようだ。 特に満州、中国、朝鮮などでは、ソ連軍の参戦、侵攻、中国内での国民党と八路軍との 内戦などが影響したのか、残留日本人の処置が全く何も決まらないまま時が過ぎて 行ってたようだ。その間にも取り残された人たちは略奪、暴行、強姦、惨殺とあらゆる 被害にあっていて、命を落とす人が増えるばかりであった。 そんな時になんとか日本人の引き上げに道筋をつけようと立ち上がったの丸山茂雄と 言う人だった。あらゆるツテをつかって日本人グループ、国民党政府関係者、米軍関係者 とあって話をつけていく。殆ど報われない恐ろしい努力の末、何とかめどをつけて 単身日本に渡る。引揚げを現実のものとしないといけないからだ。日本政府に働き掛け、 世論を動かし、GHQと交渉する。色んな人の助けがあったとはいえ凄まじい努力と 忍耐力だ。 そして、引揚げ基地のコロ島が選定され、船が派遣される。 壮絶な物語だ。文章としての魅力は別としてひたすら事実が心を打つ。 こういう人たちがいたことを誇りに思う。

この人達がいたからこそ、いろんな物語が生まれた。

ウンベルト・エーコ、「女王ロアーナ、神秘の炎 上・下」 ウンベルト・エーコの最後の作品らしい。この人の作品はどれもとてもおもしろいけど とても難解だ。なかなかすんなりとは入っていけない。それでもとてもおもしろいんで 難儀なのだ。 今回も、一見普通そうやけど実は難解、何重にも企みが埋め込まれている気がする。 僕はヤンボと呼ばれてる。恵まれた家庭、美しい妻、幸せな暮らし、稀覯本を収集して 販売する事業?、有能で美しい助手がいる? そんな素晴らしい日々? らしいが、ある日、何が起きたのか? 僕が目覚めたら僕でなくなっていた。 というか自分自身が誰なのかわからない。 何かの事故で記憶喪失になってしまったらしい。 家に帰ったら妻がいる。しかし思い出せない。どんな暮らしをしていたのか? 何をしていたのか? すこしずつ教えてもらいながら記憶をたどる? そんなことできるわけがない。 それならば田舎へ行こう。生まれ育ったソラーラへ行って子供の頃のものと 景色に触れたら何か思い出すかもしれない。 都会の描写も素晴らしいけど、田舎暮らしの描写も景色の描写も素晴らしい。 子供の頃の景色に触れる、本を見る。何かを思い出すわけではないが何かを見つける 旅になりそうだ。その頃の時代が立ち上がる。戦争の時代が、ファシストのいた 時代が。 さて、僕は何を見つけた? 知識は全て僕のものだ。しかし、記憶は? 女王ロアーナとは何者? 女王ロアーナに出会えるのか? […]