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最近読んだ本、「遅い男」、「予想通りに不合理」

J・M・クッツェー、「遅い男」 これは面白い。とても良い。身につまされる。 アデレードの街で暮らすポール・レマンはある日、自転車に乗っていて事故に会った。 気がついたら病院の中、しかも大事な片足を切断しないといけないと医師が淡々という。 冗談ではない。 やめてくれ。 しかし、命がおしければ受け入れざるを得ない。 ポールはその現実を中々受け入れられない。 義足をつけたら前のように動けますよ。冗談じゃない。わしは絶対いやだ。 自分の家で普通に暮らすのだ。そんな事ができるはずがない。 介護士が必要だ。いやだ。世話になりたくない。思うに任せない苛立ちで介護士と うまくやっていけない。子供扱いがかなわん。 介護士なんかクソ役にも立たん・・・・。おやいつの間にかそのマリアナ・ヨキッチに 心惹かれてるんとちゃうやろか? 腹立つけど気になる。気になったらよけい気になる。 で、その挙句どうなる? そんな立場でいいよったらパワハラ? セクハラ? そんなドサクサのあいだにいつの間にかわけわからん女性作家が家に居着いているでは ないか? 彼女は救いの味方か? 魔女か? ただのお騒がせか? そして事態はどんどんやばい方向になっていくんではないか? ポールの運命はいかに? マリアナはどうなる? とてもおもしろい。

ダン・アリエリー、「予想通りに不合理」 わしらはモノを買う時どうやって決めてるんやろ? 衝動買いっていうけどその衝動の正体ってなんなんやろ? 他人の尻馬に乗りやすいたちやけどそれがもんだいか? ○○キャンペーンに踊らされてないか? あなただけよという甘い言葉にのせられてないか? 前にやった行動にえいきょうされてないか? いつも同じパターンに嵌ってないか? 今だけ、ここだけ、これだけ、限定なんちゃらかんちゃらに焦りを感じた のではないか? 3つ買うたら1つおまけはホンマに得か? 0円攻撃にやられてないか? 人はどんな時にどんな行動をとりやすいか? なぜ不合理とわかっていてもその行動をとるのか? 人の様々な経済行動を分析研究して、様々な実験をとおしてそのからくりを 解き明かす。 学問的な話には弱いはずやけど、なかなか、とてもおもしろい。 しかし、わかったからと言って違う行動、毅然とした行動がとれるかどうかは 疑問やけどふと立ち止まって考えてみる指針にはなりそうだ。 気いつけなあかんなあって自制することが多いなあ。

 

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最近読んだ本、「鳥獣戯画」、「ケンブリッジ帰りの文士 吉田健一」

磯崎憲一郎、「鳥獣戯画」 題名を見て飛びついた。なになに、あの「鳥獣戯画」にまつわる秘話、裏話が小説に なってるんやろか? 新しい事実が浮かび上がってきたか? あらたな解釈が提示される のか? 期待に胸を膨らませながら読んでいった。 ??? ちょっとちゃう? かなりちゃう? 確かに高山寺が出てくる。神護寺も出てくる。 けど。 私は、28年の会社員生活を終えることにした。今日がその日だ。こんな日には それにふさわしいある女性と会って話をしたいわけがある。 幼馴染。特別な思い出がある。はずだ。 しかし、待てど暮せど彼女は現れない。そんなとき、とても美しい女声に声をかけられた。 わたしを知ってるという。 そして2人は一緒に京都へ。 これほど美しい女性にも屈折した過去がある。 果たしてこれからどう展開するのか? 幼馴染はどうなるのか? 明恵上人登場。 どうやら和歌山、湯浅のあたりの人らしい。これにも興味あり。 そして高山寺の修行の時代。文覚上人との出会い。 修行の苦しさ。生きることの哀しみ。

語りの力で、何者にもなりえ、何処へでも行ける。 ということらしいけど、わしの理解不足で語りの力になかなか惹き込まれなかった ような気がする。修行がたりんなあ。 それなりの恋愛小説とみたらわかりやすいかも。

角地幸男、「ケンブリッジ帰りの文士 吉田健一」 吉田健一の「東京の昔」とか「三文紳士」とかを読んだ事がある。とても素晴らしい。 知性のかたまりのようだ。圧倒される。 軽妙洒脱でありながら無駄な言葉は一切ない。冷徹なようで豪放磊落でもある。 とてもいい。読んでて嬉しくなる。 そういう人の人となりや生き様などが英国の、ケンブリッジの暮らしを通して 明らかになっていく。小さいときからの英語環境での日常からくるのか、それとも 独特の知性のきらめきからなのか、それともケンブリッジでの学究のなかからなのか 彼の文学世界の根源が覗かれていく。 そしてなぜ突然、ケンブリッジの暮らしを打ち切ったのか? いろいろとよんでいると、又、吉田健一の本が読みたくなった。 「乞食王子」とか、「金沢・酒宴」とかを読んでみたい。

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最近読んだ本、「数学する人生」、「書架探偵」

岡潔、森田真生編、「数学する人生」 はるか昔に「春宵十話」と言う岡潔のエッセイを読んで痛く感動したことがあって 随分前にも読み返したことがあってやっぱり痛く感動した記憶がある。 図書館でこの本を見つけたとき、まず表紙の写真に惹かれた。まぎれもなく、岡潔が 生まれ育ったと言う紀見峠、大阪と和歌山の県境にある山峡の村の風景だ。山深く木が 鬱蒼として、「山気日夕に佳し」の暮らしが見える。 こういう風土が深い思索と情緒を重んじる心を育てたのかもしれない。 九度山暮らしをしていると、紀見峠からそれほど遠くはない土地柄か、岡潔と直接 接したことはなくても聞き伝えでそのかなりエキセントリックな性格というか暮らしぶり のことを教えてもらえることもあるのだ。 頭に響くからということで靴を履かず、ずっとゴム長を履いて暮らしていたとか、 首を絞めるからと言うことでネクタイを締めることはなかったとか、 玄関先で考え事を始めたら何時間もじっと同じところにうずくまって考え続けていたとか、 有名な逸話にはことかかない。 そんなんやから、この本にある奥さんのエピソードにあるように、文化勲章を受賞する ことが決まったとき、授与式に来ていく服を調達するのに苦労したとか、取材記者が 集まってきても、岡潔宅には電話機すらなかったとか、それでいて、決して傲慢偏屈な おっさんではなくて、あくまでもそんな風に信じて考えてるから素直に行動するので あって、そういう人柄がしのばれる話がいっぱいでてくる。 パリ留学中、中谷宇吉郎の弟中谷治宇二郎との交流もとても微笑ましいエピソードが一杯だ。 そして、こころや、いのち、情緒なんてことを普段考えることがほとんどないわしに とってはとてもいい機会だ。無理やりこじつけたような宗教観や国家観みたいな話では なくてひたすら森々と考えに考える暮らしの中からでてくることばは素直に心に沁みていく。 数学や物理学の世界の人がやることって、なにか新しいものを創り出すというのではなくて、 この宇宙にすでにあるものを見つけ出しそもそものなりたちを考え抜いて人間がわかる形に置き換えて いくようなことなのであれば、人のこころやいのち、情緒なんてことを考えるのも 全く同じことなんかもしれんと思ったりする。 今更きれいなこころになれるはずもなくても、時には、浅ましい欲得、妄想や雑念から 離れて、こころとか情緒なんかについて考えておかんとええ絵がかけんのやろなあって 思う。

序 いま、岡潔を読むということ 《森田真生》 一 最終講義 懐かしさと喜びの自然学 二 学んだ日々 私の歩んだ道 ラテン文化とともに 中谷治宇二郎君の思い出 三 情緒とはなにか 絵画 こころ 情緒 いのち 宗教について 四 数学と人生 世間と交渉を持たない 勝手気まま食 文化勲章騒動記 《岡ミチ(岡潔夫人)》 […]

時々、和歌山遊、雑賀崎灯台へ

夏目漱石に「行人」という小説がある。大阪から、和歌山、和歌浦あたりが舞台に なっていて、とても面白い。 そのころはこの橋のつながるさらに向こうの方、右手の小高い丘のそのあたりに 「あしべや」とか「望海楼」とか建物があってその裏側には「東洋第一、 海抜200尺」の外側エレベータで丘の上まで登れるようになっていたらしい。

古くからあった不老橋は修復されるかわりにあしべ橋としてコンクリートになってしまった。

古い橋も残ってはいる。

物語では兄と兄嫁と母と四人でそこに滞在して漱石同様エレベータに何度も乗って 楽しんでいた主人公はある日、兄嫁と二人で和歌山に出る。兄のいいつけで二人きりで 話をする必要があったのだ。そしてある裏町の待合へ。おりから雨風が激しくなって とうとう嵐になった。とても旅館まで帰れない。和歌浦は波に洗われて通れない。 ちかくの旅館に泊まらざるを得ない。 停電で真っ暗な部屋のなかで、二人きり、外は嵐、不安がつのる。そんな中、 二人は一夜をあかす。 ドキドキする描写が続く。 さて二人はどうなったか? ゆっくり「行人」を読んで下さい。 わしらもその奠具山に登ってみよう。

麓には鹽竈神社がある。 山の上には今は何もないけど、見晴らしは良い。

「片男波・・」だったころはええ風情やったやろなあって思う。 観光を考えずに開発が先にすすんだんやろなあ、今となればもったいない。 反対側をみれば遠くに紀三井寺が見える。

ええとこなんやけどなあ。 と思いつつ、車にもどって、今度は雑賀崎を目指す。 中学生の頃、よくママチャリを漕いできたなあって口ではいうけど、どこをどう 走ったかはさっぱり覚えてない。こんなしんどいとこようはしったわ。 たくさんの昔あった老舗の旅館や展望所はもう殆ど店を閉めてしまってるんとちゃう やろか? 寂しい限りだ。 残った建物で営業できてるとこは多分、某隣国のお金持ちに買われてしまっから ではないかと言う。寂しい限りだ。 雨やとよけいええ感じに見える海岸線の風景のなかをぐるぐるとまわりながら進む。 こういう景色が殆ど着目されてないのは、ほんとうに寂しい限りだ。 下の方に観光道路も見えるけど生きてんのか死んでんのかわからへん。 と言ううちに雑賀崎の灯台に着いた。

昔から大好きな眺めだ。

ここの夕陽が特に綺麗やと思う。 眼下には番所庭園が見える。

番所の鼻だ。 和歌山市内の方角も雨霧に煙ってええかんじだ。

では、もどって酒を飲もう。 久しぶりやからベロベロに酔いそうやなあ。

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最近読んだ本、「騎士団長殺し1、2」、「日本史の内幕」

村上春樹、「騎士団長殺し」 第1部顕れるイデア編、第2部還ろうメタファー編 村上春樹の小説は実は意外と沢山読んでいる。有名すぎて、手に取るのが恥ずかしい というのはあるけど、想念の内にある世界と現実の世界が複雑に交錯して独特の 村上ワールドが繰り広げられる様相は時にはとても魅力的で読んでいてわくわくする ものなんで天邪鬼心が避けようと思っていても気がついたら読んでいることが多いのだ。 で、この本もその一つとなってしまった。 「私」は肖像画家である。画家として著名というわけではないけど、肖像画の評判は良く、 依頼者に困らないが事情があって妻とも別れ、今は絵を描いていない。 そして郊外の山の上にある著名な日本画家のアトリエだった家をその人の息子である 友人から借りて暮らしている。 とても良い環境にあるアトリエだが、なんとなく不思議な出来事が起き始めた。 ある日、天井裏でこの家の持ち主だった雨田具彦が残した作品と思われる日本画を発見。 遙か昔の日本が舞台のはずなのに不思議なリアリティーと迫力がある。 その頃、不思議な肖像画の依頼が。免色というやり手の実業家のようでいて、実態が わからないそれでいて不思議な魅力のある男だ。 「私」の絵をいたく気に入ってのことだという。そして、絵を描く作業が始まる。 絵が出来ていく過程はとても興味深い。抽象画ができていくのはこういう事なんかと 思わせる実感がある。 そしてある日、あの絵のなかの騎士団長が突然現れて不思議な予言をする。 又ある日の夜、アトリエで不思議な鈴の音が聞こえた。音をたどると裏の畑の中に 不思議な穴がある。 そして、とうとう事件は起こった。 「私」のモデルになった少女とは何者? 騎士団長の描かれた絵とは何を現しているのか? 免色とは一体何者か? 雨田具彦が戦時下のドイツで出会った人とは? 想念が時空を巡る。 夢か現か、少女に危機が? 怨念が時空を巡るのか? 様々な出来事がもつれてはほぐれていく。 とても面白い。 ただ、昔に比べたら随分スケールダウンしたんとちゃうやろか? 〇〇賞騒ぎで疲れてはんのとちゃうやろか?

磯田道史、「日本史の内幕」 この作家の書いた、「無私の日本人」という本を読んですっかりファンになって しまって、やっぱり日本人ってええなあと思ったし、この作家の本を幾つも読む ことにもなってしまった。 この人のやり方は専門の古文書からのアプローチであるようだ。 古文書にはそれが書かれた時のリアルタイムの生の息吹がある。それを読み解ければ 今迄、既成事実、世の中の常識、分かりきった話と理解してきてたモノゴトが急に 別の見え方がするときがある。それらの繋がりを辿っている内に全く新しい事実に 気がつくことが出来るときがある。 そういうことらしい。 この作者に限らず、古文書を読める人達は実に沢山の小さな生の暮らしから出て来る 知識を一杯もっていてそれが歴史の理解の背景になっているらしくてとても羨ましく 思う。 それにこの人の持論である近代日本の基礎は徳川時代にできたという話のあれこれ もこのなかに顔をだす。 なるほど、なるほどと目から鱗の発見が多い。 とても楽しい本だ。

古文書発掘、遺跡も発掘 […]

最近読んだ本、「麒麟の舌を持つ男」、「幻の黒船カレーを追え」

田中経一、「麒麟の舌を持つ男」 この本を読んだあと、なんとなくテレビを見流してたら、このタイトルのドラマを やってたようだ。なるほどそれほど人気があったと言うことか? 確かにおもしろかった。 時空を超えた二つの話が進んでいく。 佐々木充は最後の請負料理人だ。それって何? 死期を感じた人たちが、彼を雇って人生最後の想い出の料理を作らせるという事 なのだ。 その人の記憶を頼りにその料理、その想い出を再現しようというのだ。とても難しい。 ほんまにそんな事できるんやろか? 優れた創作料理を創るわけではない。帰って難しいかもしれん。しかし、彼には、 不思議な絶対味覚が備わっているようなのだ。 山形直太朗という人がいる。宮内省大膳寮というところで働いていて天皇の料理を 作っていた。 ある日、軍の命令で満州に行くことになった。 何か重大な使命があるらしい。当時、満州国はできたばかり、自体は風雲急を告げる 頃だ。 一方、佐々木の身辺に次々とおかしな事件が起こる。そして、彼は北京へ。 北京で受ける依頼とは? 山形はなぜかレシピを夢中で作っている。何のためなのか? 中国と日本を超えてこの二人の話が時代を超えて交わることがあるのか? 幻のレシピとは? 食い物ミステリーかな? 目先が変わって面白い。

水野仁輔、「幻の黒船カレーを追え」 カレーにまつわるノンフィクション。作者はカレーの世界では有名な方らしい。 日本人ってカレーとラーメンが大好きだ。 ラーメンはお隣の中国からきたもんやろ、近いし、交流が多いからなんとなくわかる。 それならカレーはどうなんや? なんで? なんて考えたことなかったけど、 考えた人がおった。 どうも幕末あたりが起源ではないのか? それなら外国船、もしかしたら黒船? ならば港町に何らかの証跡が? 横須賀から北へ、南へ、 はてはイギリスへ。 探求の旅は終わらない。 こんなことの為に、これほどの時間と情熱と労力をかけられる人っていてるんやろか? 挙げ句の果てに人生までかけてしまうのか? そして、日本のカレーのルーツはわかったのか? 黒船カレーの原点は何だったのか? これはアドベンチャー物語なのか? 旅行記なのか? ミステリーなのか? それともただのマニアックなのか? 得るものは何なんかようわからんけど 情熱はようわかる。

 

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最近読んだ本、「月の満ち欠け」、「ストラディヴァリウスを上手に盗む方法」

佐藤正午 、「月の満ち欠け 」 本は図書館で借りて読むように決めているんやけど人気の本はなかなか順番が回って 来いへん。何ヶ月もかかってやっと通知が来る場合もある。 しかし、九度山で暮らすようになって良いことが一つ、九度山にも図書館があって それなりに本が揃っている。そして競争が殆どない。これは助かる。 この本も書棚にあるのを見つけてすぐに借りられた。なんとラッキーなのか。 てなことで予定より早く読むことができた。 さて、男がこれから会おうとしてるのは、見ず知らずの少女なのか、死んだ娘の生まれ 代わりか、あるいは誰だ? 愛は時空を超えて、輪廻するのか、転生するのか? あるいは女の執念が、巡り巡ってこの世もあの世も駆け巡るのか? それとも怨念の止まるところ、極まらず、次の世にもあらわれて祟りをなすのか? みづからは半人半馬降るものは珊瑚の雨と碧瑠璃の雨 。 君にちかふ阿蘇の煙の絶ゆるとも万葉集の歌ほろぶとも 。 確かな愛があったはずなのに。 瑠璃とは何者? 誰の生まれ代り? 誰と誰の生まれ代り? かなり異論があるなあ。こういう展開はあんまり好きではない、時空を超えるのもいい、 転生輪廻もいい、でも何故かスケールが歪なような? せこいような? わからんけど・・ 最後に驚きの展開が・・・ 予想通りやけど・・

深水黎一郎 、「ストラディヴァリウスを上手に盗む方法 」 これは面白い意表をつく内容だ。とても面白い。 知らんかったことがいっぱい出て来る。 ある日、新進気鋭の女流バイオリストのリサイタルが開かれることになった。 俊一郎と、彼に誘われた海埜警部補が開演を待っている時に事件が起こった。 バイオリニストの武藤麻巳子 が襲われて、何億円もするストラディヴァリウスが 忽然と消えてしまったのだ。 海埜警部補が急遽現場を封鎖する。 果たしてバイオリンはどうなった? バイオリンって分解したらどうなる? 楽器の絶対音階ってバイオリンが支配してる? ピアノかって思ってた。 短編数編、 或ワグネリアンの恋 或ワグネリエンヌの蹉跌 或ワグネリアンの栄光

音楽の深くてもしかしたらとてもマニアックな話はとても面白い。 バイオリン曲が聴きたくなった。 ワーグナーが聴きたくなった。

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中国、湖南省、貴州省、少数民族の旅-48、上海、福州路で量り売りの本屋さんに行く。

一夜明けて上海最後の日だ。午前中は時間がある。上海書城の近く、福州路には 芸術書を売る店や書画道具を売る店が何軒かあるんでそこに行くのを楽しみにしていた。 芸術書の店が開く9:30を狙って行動を開始する。ホテルからは歩いて5分ほどだ。 勇んで行ったけどあんまりええ本がない。最近は品揃えが随分変わって来たような気がする。 絵を描く参考になる本をいつも何冊か買って帰るんやけど今年は1冊くらいしか見つけ られへんかった。 で、そのまま福州路を西に進む。浙江路との交差点の角に古本屋がある。 ここが面白い。古本というても中国では所謂新古書みたいな感じだ。中国の出版事情は わからんけど、日本みたいに書店で売れなかった本は出版社に返すんではなくてこんな 市場に出回るんかもしれん。まっさらな本が積み上げられていて、しかも重さなんぼで 量り売りで売られてる。それなりのジャンル分けがあって、重さ単価は分類されてる みたいやけど、中身で勝負せえへんとこが潔い気がしてとてもおもしろい。

しかも、芸術書みたいな塊があって、そこを掘り下げていくとけっこう面白い本が 見つかる。なんぼでもあるわけでもないけど探せばそれなりにあの芸術書の店においてる ような本があるから面白い。時間の経つのを忘れてしまう。 とりあえず2、3冊買って重さを測ってもらう。1冊200円とか300円程度、驚くほど安い。 いつまでもここにいるわけにはいかんので、こんどは福州路を東に行って文房用具を売ってる 店を見にいく。

書画を描くための筆や墨、硯、紙、書道具、篆刻の石などなど、ありとあらゆるものが 売られている店が何軒かならんでいる。

こういう店もとても面白い。確かに日本でも似たような、○遊というような店があるけど、 どこかちょっと違う気がする。

やっぱり文化の匂いのする街にいるかもしれん。 もちろん値段は日本で買うよりは大幅に安いし、日本で買えないものも多い。 それに、値段交渉に応じてくれるのも面白い。値切る楽しみがここにもある。 これもそれなりに切り上げて最後は、南京東路の歩行者天国にある老舗の文房四宝の店 「朶雲軒(ダウンケン)」に行く。ここは北京の「栄宝斎」みたいな店で主に高級文房具を置いてる店だ。 ここでは少し高級な文房具が買える。 しかし、目的は別にあって、ここの上階はギャラリーになっていて誰でも自由に 無料で観覧できる。特に2回は中国画が展示されていて、現代作家のとても良い絵が 見られる。もちろん値段もついていて販売されているけどとても高い。 どういうレベルであればここに展示してもらえるのかそういう基準はわからんけど 素晴らしい絵ばかりであることは確かで、とても勉強になる。 もしかしたら上海博物館へ行くよりもある意味勉強になったかもしれん。

量り売り古本屋さんの場所。

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最近読んだ本、「逆向誘拐」、「アウトサイダー」

文善、「逆向誘拐 」 とても異色で、とても面白い。アイデアが光る小説だと思う。 台湾で開催されてる島田荘司推理小説賞の第3回受賞作品だそうだ。 日本と台湾でそういう繋がりがあるって知らんかったけど、何にしても繋がりが あって仲良くなるのはとても良いことだ。 で、この作品。 国際投資銀行(A&B)の情報システム部に植嶝仁という若者がいる。どうやら 親のコネで入ってきたらしい。仕事はできそうだが熱心ではない。 この会社には若くて優秀なアナリストたちがたくさんいて、時には彼らと 飲んで羽目を外すことがおおい。そんなある夜、不思議なことが起こった。 そのアナリストの一人の女性が何かおかしな事が起こったと相談にきた。 どうやらいま躍進中の「ソフトウエア開発会社クインタス」の財務データの一部が 消えたというのだ。 何故? 誰が? 最初はいたずらと思った。 しかし、じきに脅迫状が届いた。 機密データを誘拐したと言うのだ。もちろん返して欲しかったら金をよこせという脅迫付きだ。 なぜそんな文書が誘拐ネタになるのか? どうやって金を受け取るのか? このソフト開発会社はフルーツという有名企業の携帯端末のアプリを開発してる。 電子マネーと新しい流通形態を創り出すすばらしいコンセプトを持ってるらしい? 事態がだんだん明らかになっていく。 これからのIT社会でいかにも起こりそうないろんなアイデアと可能性が次々と現れて、 小説であってもいかにもと思わせてワクワクする。 さて、果たして機密データはどうなるのか? 誘拐されたのはデータだけなのか? お金の動きがとても面白い。

フレデリック・フォーサイス、「アウトサイダー 陰謀の中の人生」 フレデリック・フォーサイスの自伝だ。 ほんまかいなと優秀な人間の波乱万丈の生き様だ。 英国生まれ、15歳で大学入学資格をとるわ、寄宿舎を抜け出して英軍パイロットの資格を とるわ、ヒッチハイクでフランス、スペインを回りながら語学も身につけるわ、 何やっても天才ではないのか? いつの間にかフランス語ベラベラ、スペイン語も、ドイツ語も。 それを利してロイターの特派員に、 パリでドゴール暗殺未遂事件に遭遇、これが後のジャッカルの日になるのか? 冷戦時代のベルリンへ、そして内戦下のビアフラへ。 小説を読むより面白いかもしれん、波乱万丈の人生だ。 中東へ、東ヨーロッパへ、 英国秘密情報部とも関係ができる。 それらのすべての経験がスパイ小説として生まれ変わる。 とても面白い。 多分、ほとんど読んでるけど又読みたくなった。

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最近読んだ本、「風神雷神、風の章、雷の章」、「呑み鉄、ひとり旅 乗り鉄の王様がゆく」

柳広司、「風神雷神、風の章、雷の章」 これと同じテーマで辻邦生の「嵯峨野明月記」を読んだことがある。格調高い文学の 香りがする文章やったような記憶があるけで、こっちはとても読みやすい。 主人公は俵屋伊年、後の俵屋宗達だ。 ただのぼんやりボンに見える扇屋の老舗俵屋の後継にはもしかしたらとてつもない 画才があるのではないやろか? 安芸国、厳島神社にある平家納経の修復で驚くべき才能を見せたのだ。 そして、盟友角倉与一の企画で、紙屋宗二が極上の紙を用意し、俵屋伊年の絵に本阿弥光悦 が文字を入れた前代未聞の手書き印刷本、「嵯峨本」ができるや絵師として京の街の 寵児となってしまった。 本阿弥光悦の美への執念と鋭い感性が彼をどんどん高みに連れて行く。 そして烏丸光広との出会い。融通無碍の境地。 世界がどんどん広がる。縛りはなにもない。ひたすら美の世界を彷徨う。 てな具合に、宗達の世界と彼をとりまく、京の文化の爛熟の気分をわかりやすく立ち上げて見せる。 とても読みやすくて面白い。

芦原伸、「呑み鉄、ひとり旅 乗り鉄の王様がゆく」 わしは鉄ちゃんではないけど鉄道の旅はとても好きだ。特にローカル線各停の旅は 気に入ってる。それは鉄道の旅の風情もあるけど、青春18切符を使って安く旅が できるからだ。そやから安いんであれば特急でも新幹線でもええんやけどそうは いかんからしょうがない。 18切符の場合は、1日で出来るだけ遠くへ行きたいんで、乗り継ぎ作戦が肝心になる。 1分、2分の乗り換え時間を次々にこなして息つく暇もない場合も多いんで、長丁場やから 座りたい、爺さんやからトイレのある車両が近い方がええなんて考えると、へたしたら 格闘技に近いんちゃうやろかと思たりすることもある。 走ってる時は鈍行やからのんびりゆっくりできるけどどっかであてもなく降りて 興趣に浸るなんてことができへんからがさつで無粋な旅になりかねへん。 それはそれでわしは楽しいけど、かなわんなあって思う人も多いとおもう。 この本では、旅のプロ、鉄ちゃんのブロが趣深いところを上手に旅しはる。 ちょっとノスタルジックが過ぎるんちゃうのと思わんでもないけど、思い出と共に 走る鉄ちゃんの旅はええんかもしれん。 乗った路線もあれば、乗ってない路線もある。 乗った路線で思い出深いのが秋田内陸縦貫鉄道。夕暮れ時の列車に学校帰りの高校生たちが 乗り込んできて、停まるごとに少しずつ降りて行って、とうとう誰もいなくなって 雪の角館に着いた。 乗りたい路線は南阿蘇鉄道、豊肥本線の災害復旧工事が終わったら是非行ってみたいと 思っている。

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最近読んだ本、「HHhH プラハ、1942年」、「真ん中の子どもたち」

ローラン・ピネ、「HHhH プラハ、1942年」 これはすごい小説だ。傑作だと思う。一気に読んでしまった。 ドキュメンタリー風の小説には「これは小説であって事実とは異なる場合があります。」 という但し書きがあるけど、どうやらこの作品では事実を細部に渡って追いかける ことを旨としているらしい。 いつどこにいた。その街角はどんな様子だった。その時どんな服を着ていた。 誰と会った。なんの話をした。 徹底的に資料を集める。 通常は「不明な部分も含めて自分なりの人物像を創り上げる。」もんやと思ってた けど可能な限り、事実を積み上げるのだそうだ。 そして、そこから浮かび上がる人物と事件には迫真の緊張感が生まれるようだ。 「金髪の野獣」と呼ばれる男がいる。ナチの政権下で秘密警察、ユダヤ人弾圧の 部門でどんどん頭角を現し、ついにはヒムラーの右腕になってしまった。 男の名前はハインリッヒ、かれがどこまで残虐非道で、冷酷な悪魔のような男で あるのか、いかに効率よくユダヤ人を狩り出し排除していくか、その動きを克明に 追う。 舞台はチェコのプラハ。とても美しい街だ。 わしも一回行ったことがある。有名なカレル橋を挟んで王宮跡と市街地に別れる。 どちらに行っても中世ヨーロッパの香りを漂わせるとても印象的な街であった。 是非もう一度行きたものだ。 ラインハルト・ハイドリヒ はとうとうこの街で強権の中枢になってしまった。 そして追い出されてロンドンに亡命政権を建てた側では、密かに彼の暗殺を狙う。 選び抜かれた2人の戦士がプラハに派遣される。 どうやって? そしてレジスタンスの助けを借りて暗殺計画が着々と進むのか? 果たして襲撃はあるのか? 成功するのか? 方法は? 彼らはどうやって現場を離脱するのか? 成功の公算は? 息詰まる時間が過ぎていく。 読む方も息詰まる。 とても良い感じの緊張感だ。 素晴らしい。 因みに「HHhH」とは「ヒムラーの頭脳はハインリッヒと呼ばれる 」の 略語らしい。

温又柔、「真ん中の子どもたち」 前にこの人の「台湾生まれ日本語育ち」と言う本を読んで好感を持っていたんで また読むことにした。 中国を旅行してたり、日本で知らない中国人と話する機会があったりする時に、 それが親しい間柄ではなくて、街角の食堂だったり、移動中のバスの中だったりで 殆ど通りすがりというシチュエーションで、「あんたは南方の方に人かね?」と 聞かれたりすることがある。昔は、意外と中国語が話せるやん、もうちょっとやねと 言うくらいの褒め言葉やと理解して喜んでたんやけど、もしかしたら、「あんた中国語 下手やねようわからんわ」というニュアンスに近いんちゃうやろかと最近は思うように なってきている。 つまりかなりバカにされてるということ。 そんなことはどうでもええとして、 琴子は台湾人の母と日本人の父の間で生まれ、日本で育った。つまり、台湾語と日本語と 中国語の世界で暮らしている。 […]

最近読んだ本、「四時過ぎの船」、「湖畔荘」

古川真人、「四時過ぎの船」 これほど淡々として、おだやかなゆるい時間の中にいて、何と切ない、哀しい物語なのか。 「今日ミノル、四時過ぎの船で着く」 吉川佐恵子は自分が書いたノートを見た。 あらもう4時、早く迎えに行かなくては。ミノルは1人で来るの? 家族と来るの? いや、これは今日のことではない? いつのこと? 美穂から電話が来たのは昨日のはず? 島の古い家でひとり暮らし続けるうちに思い出すばかりの生活になってしまった。 机やテレビ、棚や仏壇。見た瞬間何かに繋がったような気がするけど、いつか またぼんやりしていく。 ヒロシはなぜ目が見えない。 ヒロシとミノルが仲良く助け合ってくらしている。 でも一体これからどうなる?

もうなくなったけどわしの母親も晩年はこんな感じ、どこがどう一緒ってステレオタイプに 整理はできへんけど、時々湧き起こる古い記憶と、プラマイ30分くらいの生活感の 中でとまどいながら頭のどっかで一生懸命つじつま合わせをしてはったんとちゃうやろ かと思うと、とても哀しくなる。老いとはなんなのか、認知症や認知症的なものと おれあいながら暮らすことなんてできるのか?

淡々と老女の暮らしが語られるそのことがとても切ない。

ケイト・モートン、「湖畔荘 上・下 」 これは面白い。イギリスのコーンウォールの田園風景が目の前に見えるようだ。 行ったことないけど、見て来たように言う。 セイディ刑事は納得できない。確かにやりすぎた、ルール無視やったかもしれんけど、 母親が子供を残して忽然と消えるはずがない。何か事件があったはず? でも、今は出勤停止、祖父の家があるコーンウォールで謹慎生活をせなあかん身だ。 しかたなくジョギングしてたら不思議な屋敷を発見。事件の匂いがする。裕福で 幸せの絶頂にあった一家が突然消え、湖畔荘という屋敷だけが残ったという。 70年前に赤ん坊がなぜ消えたのか? 一体何が起こったのか? 両親はどうなった? 姉たちはどうしてる? セィディ刑事はこの事件にのめり込み始めた。ただの暇つぶしではない、何か 感じるものがある。この謎はきっと解けるはずだ。姉の1人はロンドンにいて、 高名な推理作家になっていた、セイディはこの姉、アリス・エダヴェイン に 連絡をとろうとする。きっと何か知ってるはず? 母、エリナ・エヴァダインが鍵を握っているのではないか? 根気よく調べるうちに事件は少しずつ明らかになっていく。そして湖畔荘の秘密も 分かって来る。どうして赤ん坊が消えることができたの? 何かがおかしい? どこかで何かが食い違ってる? そして意外な事実が次々に。 豊かな自然と魅力的なマナーハウス。そんななかで手に汗握りミステリー。 とても面白い。

焦って本を読んで返してしまったんで写真とってなかった。

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映画、「笑う故郷」を見た。

とても素晴らしい。腹を抱えるほど面白くて、しかもシニックでビターな映画だ。 アルゼンチンの田舎の暮らしが長閑どころではないところがとてもいい。 この映画はテアトル梅田で上映されている。ロフトの地下なんでとても便利だ。 しかも、この映画館もネット予約できるんでそれも又とても便利だ。行く前から チケットは確保できてるし座席も確保できてる。時間に余裕を見ておく必要が ないんでとてもいい。 それで今回初めて気がついた事。 マイナーそうな映画のわりには開演を待つ人が多くて、時間がきたらどどっと入る という珍しい状況の中でお客さんの動きを見てたら、入り口の壁際にある何かを 取りに行く人が多い。毛布でも借りに行くんかなって見てたら、座席に敷く補助 シートみたいなやつだった。あれって、前の席の人の頭が邪魔なときに自分の座高を 自動的にアップする道具なんかと気がついた。なるほど小柄な人や座高の低い人 には良い考えやなあって感心した。わしは背が低いけど座高は高いんで必要ない かもしれんけど時々前にとても背が高い人とか大きな帽子をかぶった人とかが 座りはるとよう見えへんから右サイドか左サイドに首を伸ばして見んならんときが あってその時は首が疲れる。 今回は前に座る人がいなかったんで望外のラッキーだった。 ダニエル・マントバーニはアルゼンチン出身の作家だ。彼はノーベル賞受賞の演説で この賞をもらうのはうれしいけど、わしの進歩を停滞させるものでもあるなんて見栄を きるようなちょっと独自なとこがあるおっさんだ。それでも巨匠なんで人気絶頂、 いろんなパーティ、イベント、講演会などなどご招待はひきもきらない。 しかし、どれもこれも行きたくない。 ところが、そんな中にアルゼンチン、ブエノスアイレスの郊外にある生まれ故郷、 サラスから便りが来た。名誉市民の称号を与えて栄誉を讃える歓迎会の催しをしたい というのだ。 もちろん言下に断る。とおもいつつも何がそうさせたのか? 遥か昔の何かが、 懐かしい思い出が、こころをよぎったのか、つい行く気になってしまった。 そして、市長の出迎え、大げさな式典、講演会、わけのわからん美術展の審査員、 いろいろ盛大に準備されてる。気が進まんでも来てしまったら出らんとしょうがない。 歓迎されてるような微妙にずれてるような。 昔の恋人との再会。 旧友との再会。 うれしいような、何かずれて行くような。 彼の作品はほとんどが故郷の出来事がネタになっているようだ。喜ぶ人もいれば 不興に思う人も。 彼はボルヘスではない。 だんだん事態がややこしくなる。 そしてとうとう事件が。 美女と羊の脳とノーベル賞作家。 さてさてどうなることやら、すべては故郷の荒地の闇の中へ? すべては彼のペンのなせる技か? とても面白い。

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ありがとうございました。

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最近読んだ本、「ツバキ文具店」、「ホテルルワンダの男」

小川糸、「ツバキ文具店」 この人の「食堂かたつむり」と言う本を前に読んで面白かったので再び挑戦することに。 鎌倉のある裏町の裏通り、「ツバキ文具店」と言う名の代書屋さんがある。 若い娘がやるような仕事ではない。何故? なるほど、先代、彼女のおばあちゃんが 突然亡くなって、一旦は閉じようとしてた店をぽっぽちゃんこと、鳩子がつぐことに したのだ。何故突然? それには深いわけがある。 そして始めた代書屋さん。今時そんな客おらへんやろ? それが意外といるらしい。贈答の挨拶、昔の恋人への消息、復縁を願うのではなく 元気だよってしらせるだけの微妙な手紙、思い余った縁切り状、 借金の断り状。 それぞれに物語があって登場人物がいる。裏町の生活模様が生き生きと立ち上がる。 そして、心温かい人たちの何気ない心遣いがとてもいい。 もう忘れてしまった紙とペンの世界、とても懐かしくなる。 わしも今では、手紙を書く事なんてほとんどない。あってもパソコンで文章を打って 印刷したのを出すくらいだ。年賀状もそのとおり。手で書くことを疎かにするうちに 漢字をどんどん忘れてしまう。しってたはずと手が動いてもはたと止まったら先に 進まへん。 たまにはと万年筆をとりだして書いてみる。 なかなかええもんだ。インクももっと違うのがあったらええのに、便箋や封筒、 モノを書く紙、いろいろこだわったら楽しいやろなあ、 その時は思ったけど、しばらくしたらまた忘却の彼方へ。 文化が心に根付いてない。あきませんなあ。 物語の中では、ええっ? うまいこと行きすぎやん、ありえへん。 とか、それはないやろ? とか、勝手にやってええのん? とか、いろいろないではないけど、そこがフィクションの世界、楽しく読ませて 頂いた。

ポール・ルセサバギナ、「ホテルルワンダの男」 大分前に「ホテル、ルワンダ」って映画を見たことがある。内容がそっくりなんで 多分この本が原作なんやろって思う。 ポールは真面目で勤勉なホテルマンだ。ホテル、ミルコリンの副支配人で手腕を 認められ、ホテル、ディプロマットの支配人をまかされるようになった。 そんなある日、ルワンダを最悪の悲劇が襲った。フツ族がツチ族を襲ったのだ。 アフリカで民族間の争いが起こるといつも心がざわつく。なぜ、どんな力のバランスで なんのために、得るものは何? 失うものは? わしらの貧弱な想像の外にある。 漆黒の闇と精霊の世界、部族と部族、そして押し寄せる欧米やアジアの資本と価値観、 何がどうなってるんか? 簡単に決めつけられへん。 ルワンダでもフツ族とツチ族の諍いが続いていた。危険なバランス。 そしてある日、フツ族による殺戮が始まった。昨日まで仲良く暮らしていた隣人が鉈を持って 襲ってくる。足の腱を切って逃げられなくしてから手足を切り、残虐に少しずつ殺す。 人はなぜそこまで非道になれるのか?わずか100日間で80万人殺された。 毎日、ラジオで敵を殺し尽くせと叫んで居る。 ポールはフツ族ではあるが家族にツチ族がいる。ルアンダにはそういう人が多い。 家族に危険がせまる。友人、知人にも危険がせまる。 意を決して、皆でホテル、ミルコリンに立て篭もろう。 とりあえずは何故か安全だった。襲撃の対象にはいまはなってない。 そしてポールの死に物狂いの活躍が始まる。 […]

最近読んだ本、「神秘大通り 上、下」、「籠の鸚鵡」

ジョン・アーヴィング、「神秘大通り 上、下」 この人の作品はいつ読んでもとても面白い。新作が出るのを楽しみにでたらすぐ 読むようにしてる。決して期待を裏切らないのがすごいところだ。 フワン・ディエゴ はフィリピンに向かっている。彼はスラム出身の作家だ。 メキシコシティ、オアハカの街の裏通りのスラム街で生まれ育った。母は掃除婦兼 娼婦、父はわからない。妹のルペは未来が見えるらしい。 どういう未来か、自分の命がどうなるか? 兄が作家として成功するのか? そのためにはライオンの檻に入るのはだれか?調教師イグナシオをどうした。 スラム街はダンプと呼ばれる兄弟はダンプキッドだ。どこから迷い込んできたのか ぺぺ修道士、トランスヴェスタイトのフロール、エドワード・ボンショー。 聖処女マリアの鼻はどうなる? フワン・ディエゴは飛行機の中だ。ダンプキッドの暮らしは夢の中なのか? では彼の片足はどこで不具になったのか? 現実と夢の中を行ったり来たりするのはベータ遮断薬のせいなのか? 母ミリアムと娘ドロシーと何故しりあったのか? バイアグラを使ってやりまくったのは 夢か現か? 母と娘は実在の人物なのか? 果たしてスラムで死んだ元軍人青年の故郷を訪れることができるのか? めくるめくような話の流れにぐんぐんと惹きつけられて息つく暇もないほどだ。 気いつけんと読んでるわしまで夢の世界に入ってしまいそうだ。 時間も空間も想念もぶっとびまくって気がついたら終わってた。 おそるべし。

辻原登、「籠の鸚鵡」 梶は和歌山県下津町の役場の出納室町だ。おやいきなり知ってる町やんか、わしの 故郷海南の隣だ。真面目な梶は酒も女も遊びもしない、それがふとした事で和歌山市の 飲屋街、アロチで一軒のスナックへ。これまた中学、高校時代を過ごした和歌山が でてくる。丸正デパートがあってその向かいにブラクリ町の商店街があって、そこを 突き抜けた先に小さな一杯飲み屋やバーやスナック、妖しい店や妖しくないみせが ひしめく飲み屋があってそこをアロチと言う。こんなん本を読み直さんでも書ける くらいようしってる。行ってたわけではないけどね。 ある日梶のもとへ手紙が届く、カヨというスナックの女からの誘いの手紙だ。仰天するほど生々しい エロチックというよりはセックス行為そのものの淫らな誘い文句がならんでいる。 あっという間にその気になって、あっというまにあるあるパターンで公金使い込み、 女に貢いでどうにもならんようになるんではないか? こんな女に男がいないはずはない。やっぱり不動産屋くずれの元夫、今の男はヤクザだ。 そしてヤクザにも試練が。 抗争相手の親分を殺せるのか? そのあと逃げおおせるのか? どうやって? 梶はどうなる? 梶の貢いだ金は? 熊野古道を彷徨うのはだれだ? 最後は補陀落浄土へ向かう道しかないんとちゃうのか? 知ってるとこばっかりが舞台やと異様に興味が引きずられる。 とても面白い。

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