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最近読んだ本、「壁の男」、「応仁の乱」

貫井徳郎、「壁の男」 どこか関東の方の地方都市に珍しいスポットがあるという。ノンフィクションライターが 旅に出た。なるほど変わってるという噂の家があった。どう変わってるんや? 家の外壁全部に絵が描かれてる。とんでもない絵に見える。プロの絵というよりは 子供が描いた絵のようだ。色も派手で力強く、どこか味わい深いところがないでは ないけど美味いとは言えないような気がする。それでもどこか惹かれる。それに この絵はこの1軒だけではないようなのだ。よく見たらあっちにもこっちにも、 殆どこの集落全部なのではなかろうか? 描いたのは誰だろう? どんな人が? どんな理由で? えっ、どんな絵やろ? どんな絵を想定してこの物語が書かれてるんやろ? わしかて見てみたい。で、いきなり本の世界に引っ張られる。 尋ね回るうちにある人物が浮かび上がって来た。 一人暮らしの伊苅という男らしい。 寡黙な男だ。尋ねて行っても頑なに心を開かない。 何度も尋ねるうちに少しずつ話始めた。でも、詳しくは話さない。何か理由が ありそうだ。何か暗い闇を背負ってるんとちゃうやろか? 本人だけでは埒が明かないんで関係ありそうなあらゆるところを取材に回る。 少しずつ。見えてきた。 妻梨絵子はどうした。子供がいたらしい。その子、笑里はどうなった。 少しずつ謎がほどけて見えてくる。 なぜ伊苅は住民から疎外されていたのか。そして住民はなぜ彼に心を開いて絵を 頼むようになったのか? 絵の果たす役割とは何なのか? それはわしも知りたい。 そしてつぎつぎと驚きの事実が明らかになっていく。 いやこれ以上の驚愕があるのだろうか? とても面白い。

呉座勇一、「応仁の乱- 戦国時代を生んだ大乱 」 この本、とても面白い。割と硬い目の歴史学者的な、研究レポート的な内容かと 思って読み始めた。事実そうなんやけど、内容がとても面白くてついつい読んで しまう。人名が一杯でてきて、それぞれが難しい読み仮名ですぐさま読み方を 忘れてまた戻りつ行きつ、あれがああなったんかこれがこうなったんか誰が敵か 味方か糾える縄の如しでわけわからんけどそれが結構面白いし、実はそれが現実 だったのらしい。 応仁の乱のあたりの歴史なんてさくっと通り過ぎててあんまり覚えてへんかった。 京都の老舗を云々するときによくつかわれる、「戦の後以来の・・・」でいう 戦って第二次大戦ではなくて応仁の乱のことやで、それほど古いんやでという言葉 で最後に京都が大きく焼かれた頃なんやと漠然と知ってるていど。 細川勝元と山名宗全の勢力争いが東西に分かれた前面戦争に。 足利義政の後継者争いに、日野富子がからんだ女が政治によこしまにに絡んだ。 なんてことをステレオタイプに記憶してただけだ。 しかし、この本を読んでみると近畿一円のいろんな豪族や部族の領土争い、縄張り 争い、跡目争い、様々な利権と怨念がぐるぐる回って、今日はあいつと手を組んで あしたはこっちについてなんて節操があったりなかったり、戦争になったらならん かったりそんな争いを延々とやってた時代にことを応仁の乱って言うらしい。 よんでると成る程そうかと頭の中が整理できたきたり、その後の戦国時代の本格的 な争いの元はこんなとこにあったんかと目を洗われるようなこともある。 難しくて面倒くさいけど、とても面白い本だ。 […]

最近読んだ本、「サロメ」、「いまさら翼と言われても」

原田マハ、「サロメ」 この作家の本は出たらつい読んでしまう。やっぱり画家の作品と暮らしがテーマに なってることが多いんで興味深い。今回は、「サロメ」、作家と画家が登場する。 ユダヤの王エロドは兄を殺して王位に就き、その妃を自分の妻とした。そして、 あろうことかその娘、サロメにまで触手を伸ばそうとしている。サロメは、 獄に繋がれた預言者ヨカナーンに心惹かれるが激しく拒絶される。ある日、サロメは 王に舞を所望され、何でも好きなものを褒美にもらうやくそくで引き受ける。 そして、要求されたものはヨカナーンの首だった。 運ばれた首にサロメは口づけし、愛を語る。 エロドはサロメを殺させる。 こんな、妖しいエロスと耽美と退廃に満ちた戯曲を書いたのがオスカーワイルドだ。 そして、その挿絵を描いたのがオーブリー・ビアズリー。 二人と、オーブリーの姉、彼らにまつわる男たち、女たち、欲望と愛憎、倒錯の 渦巻くデカダンスの世界。 そして、オーブリー・ビアズリーの強烈な絵が登場する。 白と黒だけの世界。今まで見たこともない世界。憎しみと諧謔とエロスと退廃に 溢れた世界。常人のモラルと感性の限界を嘲るかのようだ。 この本に刺激されてオーブリー・ビアズリーの絵をじっくりみてあらためてその 鋭さに驚いた。この絵からあんな物語を紡ぎ出せるというのもすごいもんだ。 異論はないではないけど。

米澤穂信、「いまさら翼と言われても」 この作者の本を読み始めたら、いつも、こんなん推理小説になるんかいな、殺人も ないし、強盗もないし、命を狙う悪漢とのアクションもない。日常生活が淡々とある。 しかし、日常生活でも謎があるし、謎解きもある。 それが結構楽しくてスリリングで気が付いたらいつのまにかその世界に引き寄せられてる。 そして、またかなと思いつつ読んでしまう。 ある日、高校の生徒会長選挙があった。どうも水増し開票があったみたいだ。 しかし、どう考えても選挙管理員がそんなことをするはずがないし、そんなチャンス もなかったはずだ。一連の作業は厳粛に管理されて居た。 一体誰がどうやって? 中学校の時の卒業制作のことを思い出した友人がいた。誰かの手抜きで作品が 台無しになったという思い出。しかし、果たしてその人が本当に悪かったのか? その裏に何が隠されて居たのか? 先生が好きだというヘリの話に隠されたなぞ、漫画研究会の主導権争い。 果たしていろんな謎は解けるのか? ちぃちゃんはどこに隠れてしまったのか? 何故か面白い。

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最近読んだ本、「王様のためのホログラム」、「旅をすること」

デイヴ・エガーズ、「王様のためのホログラム」 サウジの空港にアメリカ人が降り立った。ビジネスコンサルタントらしい。カッコイイ。 かな? なんとなくカッコよくなさげだ。 これから、砂漠の真ん中にあるビジネスパークのようなテント村に行ってプレゼンを やるらしい。ホログラムとITを駆使して砂漠の中に仮想現実を浮かび上がらせる仕掛けだ。 うまくいったら王様が買い上げてくれる。がっぽり儲かる。 かもしれん。 しかし、アランはどじばっかり、車を手配してもいつ来るかわからん、どこへ行くかわからん。 プレゼンしょうと思っても、WiFiはないし、エアコンも効いてない。それはどれも アランのせいではない。何をやってもうまくいかんのは運が悪いからなのか、何か 不条理な力に操られているのか。よう考えたら、世の中って不条理に満ちていると ちゃうんやろか。今までいろいろ事業をやってきたけどアイデアはよかったはずやのに 資金も集まりかけてたのに、最後の瞬間に中国企業に持っていかれた。 そんな目にあってもアランはようやってる。元々、能天気なんか、めげない性格 なんか。それに人たらしでもあるようだ。 運転手、ユーセフともすぐに仲良くなってアラブの世界に入って行く。 やりてのビジネスウーマンも女医さんとも仲良くなれるのか。やりてのセールスマンか 人がいいのか? できそうでできないメイクラブのシーンは圧巻だ。 ユーモアたっぷり、理不尽たっぷり、とても面白い。 さて、王様へのプレゼンは成功するのか?

小林紀晴、「旅をすること」 旅という名前がどっかについた本はつい手にとってしまう。見て面白い本もあれば 面白くない本もある。特に写真家の旅の本ってどうなんやろ? 前に藤原新也って 人の「印度放浪」や「西藏放浪」を読んだときは、文章よりもとても鋭い感性の写真が あるのに驚いた。それに引き込まれて文を読んでいくととても魅力的でぐいぐい 惹き込まれていった記憶がある。 他にもタイトルは忘れたけど、写真だけでぐいぐいっとパンチを受けてしまった やつもある。やっぱりプロの視点ってすごいんやなあって思った。 この本も表紙の写真やぱらぱらめくった写真を見ながら面白そうやなあって読み始めた。 気になる写真がたくさんある。 けど、話がいったりきたりでどうも入っていけない。何となくニューヨークでの 暮らしとアジアの旅の間をふわふわしてるけど、写真からも文からも伝わって くるもんが薄いんではないかと思ったり、わしの感性がえらい鈍いんやなあって 思ったりした。 思わぬ感動をいただく本もあれば、思わぬがっかりもまたしょうがない。 いい本に巡り会えるよう、頑張りましょう。

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最近読んだ本、「マチネの終わりに」、「終わりなき旅の終わり さらば、遊牧夫婦」

平野啓一郎、「マチネの終わりに」 若き天才ギタリスト、蒔野聡史、今をときめく時代の寵児になろうとしている。 かっこええ。 美しく聡明なジャーナリスト、小峰洋子、外国の高名な監督の娘でもあるらしい。 かっこええ。 こういう二人は出会ったとたんに恋に落ちる。 なるほど。 さて、どれほどの恋物語がと思いきや、二人はすれちがうばかり。 蒔野聡史のギター演奏がおかしくなってきた。天才の技はどうなってしまったのか? 愛を求める心の高ぶりが音をより一層磨き上げるんとちゃうんやろか?それとも 今ひとつ信じきれない心の揺れが音にためらいを生みだすんやろか? 恋の行方は音の行方でもあるらしい。 小峰洋子はいつのまにかアラブの騒乱の真っ只中にいるらしい。テロが生み出す 生と死のカタストロフィーで彼女は壊れてしまったのか? ええい、めんどくさい、やってまえよってつい思うのはゲスの感覚だ。 崇高な二人は許す愛と耐える愛をえらぶのか? 未来は過去を変えることができるのか? 許すことが至高の愛なのか? 二人の運命は果たしてどうなるのか? 言葉は美しくて行為はめんどくさい。 ギター曲が聴きたくなる。 そんなお話。

近藤雄生、「終わりなき旅の終わり さらば、遊牧夫婦」 夫婦でバックパッカーをやって旅をする話。とても面白い。 旅の話はどんな本でもいいなって思う。 旅をするのは楽しい。いろんなところを旅して、出会った風景、出会った人たち のことを心に焼き付けて帰る。帰った時は溢れる想いが頭の中に一杯つまってる。 忘れんうちに絵に描いて、文に描いて、写真も整理して、なんて思ってるうちに どんどん消えて行く。絵にも写真にも言葉にも音や匂いや味わいは映らへん。 人の心も映らへん。それでもやっぱり時にはそれをきっかけに想い出が膨らんでいく。 きつい想い出や危ない想い出、心がヒリヒリするような冒険、このあとどうなるか 全く読めない窮地をどう切り抜ける、そんなんもええかも知れんけど、全く普通の 旅にも良い旅がたくさんある。 たぶんその目で何を見るか、何を感じるか、そういう感性によるんではないか、 そやからええもん、ええ心を発見できる感性を磨かなあかんなあって思っている。 この本でもそういう楽しさがいっぱいあってとてもええなあって思うけど、 何故かきつい旅をすることが目的みたいなとこもあって、人の善意や助けを前提に 行動してるように感じられるとこもあるような気がしてそれが少々気に入らんなあって 思ったりした。 いずれにしろ、「漂泊の想いやまず・・」 いつも良い旅をしていたいもんだ。

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最近読んだ本、「つつましい英雄」、「六代 豊竹呂大夫 五感のかなたへ」

マリオ・バルガス=リョサ、「つつましい英雄」 読んでて途中で気がついた、この作家、前に読んだ「アンデスのリトゥマ」と同じ 作家とちゃうやろか? ペルーの地方の町の描きかたとか人物の描きかたがとても 似てる感じがして、どっかで読んだ感じやなあって思てるうちに思い出した。 調べてみたらやっぱりそうやった。 ペルーの地方都市ピウラにフェリシト・ヤナケという小さな運送会社を経営する男がいる。 若い時からこの道一筋で叩き上げた真面目一本の男だ。誰からの脅しにも屈してはならない という父の教えを固く守っている。 そしてある日、ヤナケのもとに一通の手紙がきた。蜘蛛の印がはいった脅迫状だ。 災いを避けたければ金を出せというのだ。 どんな災いなのか? 困った時にたよりになるのは予言者アデライダだ。彼女の予言は外れたことがない。 しかし、今回は何もわからないという。彼と愛人マベルとの関係は微妙におかしくないか? 軍隊に送った息子ミゲルは本当に改心したのか? 首都リマに住む、リゴベルトはそろそろ仕事を引退しようとしてる。上司の イスマエルはもうちょっとだけ待ってくれと言う。実は、妻と死別している彼は メイドのアルミダと結婚しようとしているのだ。 この歳になって今更何故? ドラ息子たちに財産を渡したくないのか? どちらの事件もどんどん波乱を起こして複雑になっていく。そしていつの間にか 交わって来る。 どこが? なぜ? どうして? リトゥマと同じように町や村の普通の暮らし、原住民族への差別感そんなもろもろが 目の前に立ち上がって来る。 とても面白い。 よくできたサスペンスを読むようだ。

六代 豊竹呂大夫、片山剛、「六代 豊竹呂大夫 五感のかなたへ」 文楽の太夫の話、人形遣いの人の話、そう言うのを読むのはとても面白い。 わしはずっとサラリーマンで暮らしてきたんで、そういう世界のドロドロは隅々 までようわかってる。そやけど職人さんの世界、芸人さんの世界、徒弟のしきたりの 厳しい世界なんちゅうのはさっぱりわかってない。そやから余計興味があるし、 面白い。自分に厳しい、あるいは優しい、他人には厳しい、そして理不尽がまかり通る ややこしい世界、そんな中でアイデンティティを磨くのは大変な話で、部外のわしらは申し訳 ないけど唯面白い。ここではそんな芸事の世界だけでなくて、個人としての生き様が 描かれていてそちらの方が親しみ易くて味がある。多分わしと同世代の人なんでは なかろうか大江健三郎やら高橋和巳なんかを読んではる。 新しいものへの取り組みもとてもいい。 そういえばしばらく文楽に行ってないなあ、行きたくなってきた。

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最近読んだ本、「天国に行きたかったヒットマン」、「雨月物語精読」

ヨナス・ヨナソン、「天国に行きたかったヒットマン」 この人の本、「国を救った数学少女」、「窓から逃げた100歳老人」どちらも ものすごく面白かった。抱腹絶倒ものだった。なんと言うハチャメチャな発想、 なんと言う大胆不敵な行動、世界の大物を手玉にとって、民間人の癖に原爆まで 手に入れて、何をするやら、予測不能の大活劇、そんなこと有り得へん世界やのに 変に説得力がある。素晴らしい。 これもそんな本だ。 素手で一発で人を殴り殺しかねない、あるいは殺ししかできない、そういう恐ろしい 男が刑務所からでてきた。彼をヒットマンアンディシュと名付けよう。 ふらふらと場末の安ホテルにやってきたがそこにはどじな受け付け係の若い男と 教会から追い出された若い女の牧師がいて、そこからわけのわからんドタバタが 始まる。わかがわからんうちにヒットマンアンディシュのこわもてと腕っ節が 金になるとわかってきた。もはやブランド化していて、どこをどつくか、骨の 一本も折るかでビジネスが成立してしまうのだ。 金はいくらでも入って来る。 しかし、うまい話は長くは続かない。 ヒットマンアンディシュは神の道に目覚めるのか? 受注した暴力沙汰はどうなるのか? 裏世界のボス、伯爵、伯爵夫人は彼らをどうするのか? 軽くて楽しい、ゆるっと楽しめる。

稲田篤信編著、「雨月物語精読」 大分前になるけど、「雪女」って映画をみてとても面白かったんで怪奇物の原作を 読んでみたくなった。けど、ラフカディオ・ハーンの本はあんまり面白ろなかったんで こっちにしてみた。「雪女」の話はないけどとても面白い短編集だ。 白峰 有名な西行が崇徳院の墓を訪ねて亡霊を諌める話。 菊花の約 来年の重陽の節句に又会おうと固い約束をしたけど、訳あって死んでしまった男が 律儀に約束を果たそうと魂になって会いに来る話。 中国の昔話からとったと思う。 浅茅が宿 いにしへの真間の手児奈をかくばかり恋てしあらん真間のてごなを 有名な真間の手古奈の悲恋の話。 夢応の鯉魚 夢の中で鯉になって遊んでいたが、釣られてしまった。 ありゃりゃと思ったら目が覚めた。 これも中国の昔話からとったと思う。 仏法僧 忘れても汲みやしつらむ旅人の高野の奥の玉川の水。 高野山の奥の玉川の水は飲むなと弘法大師の言い伝えがあるらしい。 この本では思い違いと書いてるけど、玉川上流では銅や水銀がとれた事があるんで やっぱり毒があったんとちゃうやろか(私の意見)。 高野山で秀次たちの亡霊に脅される話。 吉備津の釜 吉備津神社釜占いの話は今もこの神社に残っている。 蛇性の婬 有名な道成寺の話。 清姫に見込まれた安珍の話のバリエーションか? 青頭巾 死人を食う鬼になる。 これも中国の昔話やと思う。 貧福論 読みやすくて楽しい。 […]

最近読んだ本、「海の見える理髪店」、「絢爛たる影絵ー小津安二郎」

萩原浩、「海の見える理髪店」 不思議な理髪店があった。何の変哲もなさそうな田舎の店に不思議と客が絶えない。 しかも有名人がお忍びで来ることも多いのだそうだ。かっこええ。 そういう店がいつのまにか客を取らなくなったようだ。 ある日、若者が一人その店を訪れた。 そして・・・・。 久しぶりで実家を訪れた。母はどうしてる? 私にとっては自分勝手で、独りよがりで、押し付けがましい・・・ しかし、老いが母をどう変えたのか?・・・・・ こんな夫とやっていけない。子供をつれて実家に帰ってしまった。しかし、 実家で居所はあるのか? そして不思議な手紙が・・・・・。 とてもシュールな話でもある。 母の離婚で実家に連れられてきた茜、子供にも絶えられない貧しさとやりきれなさが 続く。ある日、茜は海を目指して旅にでる。そして出会ったのは・・・・・? 父が残した形見の時計、あんな人生で僅かにのこったお宝のようなもの、どれほどの 値打ちが? お金より人生の足跡か? 中学生の娘が突然なくなった。それから数年。成人式を迎える日がやってきた。 未だに娘のことが忘れられない。夫婦がとった意表をつく行動とは? あまりにも切ない。 少しほのぼの、少しビター、少しシュール、少し素敵でかっこいい、少しおかしい、 少し哀れ、少し哀しい。 すこしずつの短編集。時々心が離れ、時々引き寄せられる。 そんな短編集。

高橋治、「絢爛たる影絵ー小津安二郎」 強烈な個性を強烈に描いた強烈な作品ではなかろうか? 作者は小津安二郎を とても嫌いでとても憎んでいてしかもその個性と才能にどうしょうもなく惹かれて それを認めざるを得なくてあえて描く、描くからには余すところなく描くという 心の中から生まれた本なんとちゃうやろか? それにしても映画ってなんて恐ろしい、こんなに鬼気迫る環境の中からでしか、 生まれて来んとあかんもんなんやろか? わしは素人やから映画を見てもその裏側は なんもわからん。ただストーリーを追って、喜んだり悲しんだり、笑ったり泣いたり、 興奮したり、感動したりしてるだけやけど、それがどういう企みの元に組み立てたてて、1枚、 1枚のカットに落とし込むのか、役者は何をどうみせるのか、観客の心と視線を どう誘導するのか? ありとあらゆるところに拘りと才能が妥協なく注ぎ込まれる ところがなんと凄まじい。 小津の映画がこんなんやったら他の人の作品ってどんなんなんやろ、今の映画は どんな風につくられているんやろ? これから映画をみる見方が変わって来そう やなあって思う。いろんな興味と疑問をもってしばらくは映画を見るかもしれんけど そんなん知らんし、考えもせん方がかえってオモロイかもしれんとも思ったりする。 プロの世界って怖いですなあ。 シンガポールの話も面白い。

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最近読んだ本、「天地明察」、「江南の鐘」

冲方丁、「天地明察」 映画があったのは知ってた、見てはないけど、話題になってたと思う。しかし、 原作本があるのは知らなかってある本を検索してる時にふと引っかかったんで 面白そうやんかと思って図書館で予約した。 安井算哲、碁界の名門安井家の次男のような跡取りのような不思議な男がいる。 又の名、あるいは後に正式名となるか、渋川春海とも名乗っているらしい。 碁の世界に飽き足らず、算法や暦法にも興味を抱き始めた。 そして、最近、老中の酒井雅楽頭や幕政改革の中心人物である保科正之らに密かに 目をつけられて人物評価をされているらしい。 そんな気配がある。 そしてとうとう命が下った。改暦事業に取り組むのだ。 まずは測量から、日本全国を巡って正確な緯度経度を算出する。 そこまでは順調やったけど、そこから先が苦難の連続だ。どこにでも保守派がいる。 制度には利権もからんでいる。変わると困る人達がたくさんいるのだ。 それに、正しい暦とは何なのだ。どうやって証明する? そして算学塾は? 盛り上がってるか? 関孝和は応援してくれるのか? 春海の恋はどうなった。 算法の世界から天文学、日食、月食と次々に面白い。 しかもそれで誰が儲かるという話まである。 切腹したら誰が掃除する? いやいやいろいろ楽しい話が盛り沢山だ。 昔読んだ、長井義男、「算学奇人伝」も面白かったけどこれもとても面白い。 理論的な部分ではほんまに? という面もないではないような気もするけど、 面白かったらそれでええやんかと思う。 一気に読んで楽しめる本だ。

ロバート・ファン・ヒューリック、「江南の鐘」 大分前に映画館で予告編を見てたら香港映画か何かでこの人のシリーズのうちの どれかが映画化されていた。マイナーな人かと思てたんやけど結構有名な人やったんかと 驚いた。 この人がどの程度中国に関わってて、どの程度詳しいんかはようわからんけど、 荒唐無稽なんちゃうんと思いつつもつい読んでしまう。何となくありそうでなさそうな、 なさそうでありそうな話がミステリーとして結構面白くしあがってる。何か 中国の古典なんかにネタ本がありそうやけどそれはようわからん。 ディ判事は次に任地、蒲陽に赴任したばかりだ。 引き継ぎ書類を見てみよう。気になる事件がある。ある晩、娘が若い男に襲われて 殺された。話は簡単そうだ。しかしどこか気になる。男は娘といい仲だったらしい。 それが何で殺さんとあかんことになったのか? 色々調べてみると謎は混迷してきた。 また、地元の名刹である普慈寺というのもどこか胡散臭い。賄賂で抱き込もうと してきてるんとちゃうやろか? なんで? ここは子授けの神様がいてはるらしい。 不妊の女が一晩泊まると、間違いなく子宝に恵まれるという。 間違いなくおかしい。 しかし、その部屋は外から封印されているという。 本当に仏の力が授かるのか? おかしい? 待ちの外れの廃屋の中で何やら妖しい集まりがあるという。 妖しい。 そして、ディ判事の推理がきりりと光るとすこしずつ謎がとけて、色んな不思議が […]

最近読んだ本、「キルリスト」、「霧の会議」

フレデリック・フォーサイス、「キルリスト」 この本おもしろいわ、映画見てるみたいって思ったらやっぱり映画になってた。 説教師と呼ばれる男がいるらしい。カリスマ的なアジテーターなのか? イスラム教徒による過激なテロが頻発してる。今までごく普通の市民だったような 若者が突然テロリストになって衝動的なテロを起こしているようなのだ。 背後に何があるのか?調査を進めるうちに説教師が浮かび上がって来た。ネット上で この男の説教を聞いた若者たちがいつの間にかテロをしなければいけない気持ちに なっていくというのだ。とても危険な人物だ。 極秘名簿「キルリスト」に加えなければいけない。 そしてアメリカの対テロ特別組織TOSAが動きだす。追跡者登場だ。 ありとあらゆる手段で説教師を追い詰める。しかし、どこにいるか特定できない。 コンピュータおたくはネット上で足跡を辿れるのか、潜入スパイは? ドローンによる攻撃は可能なのか? 意外なところで痕跡が? パキスタンか? アラブのどこか? もしかしたらアフリカ? 周到に少しずつ近づいて行く? ピンポイントを見つけるチャンスはあるのか? 手助けしてるのは人か組織か? 罠にはめることができるのか? さすがこういう世界を描かせたらすごく上手い。ワクワクハラハラで惹きつけられて 一気に読ませてしまう。こんなことって現実にありそうなのが今の世の中なのか?

松本清張、「霧の会議 上、下」 この本も、先日行ったエベレスト街道トレッキングの時、あいにくの雪でエベレストビュー ホテルに閉じ込められてた時に暇やからロビーにあった本を手当たり次第に読んでたら そこにあった本なのだ。清張か、今となっては古臭いんとちゃうやろか? しかし、 他に暇つぶしはないしなあ、とか思いながら読み始めたら、とても面白い。古臭い どころかえらい新鮮やんか。ところが下巻がない。ここには上巻しかないようなのだ。 それはないで、中途半端な心残りで日本に帰った。早速、図書館で借りてきて 全巻完結となったのだ。 ローマ在住の記者がロンドンにやってきた。ある事件に関与した金融界の大物を 追う刑事たちに同行して取材にきたのだ。そして、ある日、街角のカフェで不思議な カップルと出会う。そして、その後、とうとうその大物が殺されて川に浮んだ。 もしかしたらあのカップルが目撃した? そうなると逃げないといけない? ロンドンからヨーロッパへ、マフィヤの世界がどんどんからんでくる。次に殺されたのは誰? それは何故? ミステリーはがぜん緊迫して来る。 怪しい会議とは? そして不倫は? 金と利権をめぐる巨大な闇? 男と女の闇? ロンドン、パリ、モナコ、ニース、フィレンツェ? 舞台も目まぐるしい。 さて、最後はどうなる? 最後はちょっとバタバタやったけど、とても面白い。 今でも十分通用する背景を持った話やと思う。

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最近読んだ本、「鬼殺し 上、下」、「河畔に標なく」

甘耀明、「鬼殺し 上、下」 台湾、客家と言われる中国、福建省から流れたきた一族たちが住む村の山の中に じいちゃんと二人暮らしの少年がいる。そこは少数民族タイヤル族の村でもある。 関牛窩グアンニュポー 。 山深い自然の中で暮らすその子は変わったどうも資質をもっているらしい。大地や森の 精霊たちと話ができるし、地下に眠る鬼王や他の亡者たちとも話ができる。 そして、村の誰一人及ばないほどの力持ちでもある。 時代は日本統治時代に入った頃だ。 ある日、とうとう日本軍がやってきた。いつか青年になっていた帕はその力を認められて 日本軍中佐の養子となし、入隊する。 その中でも異能を発揮して活躍する。飛行機と戦う? 機関車と戦う? 骨太の物語にぐんぐん惹きつけられる。時空を超えて、天空を超えて自由自在だ。 圧倒的な迫力。 まるで、石川淳の小説を読んでるみたいだ。 そしてこんどは国民党軍が入ってくる。 爺さんや鬼王の聖地はどうなる? 帕はどこに行く。 戦後の動乱を生き抜けるのか? 自然と精霊の村はどうなっていくのだ? 私は一体なにものなのだ? 故郷を無くし、身を削って生きていかないといけないのか? 二・二八の台湾の姿が立ち上がる。 分厚い二冊の本が何の重荷にもならへん。どんどん読んでいける。 そして台湾の山の、森の暮らしがどんどんと立ち上がってくる。 こういう台湾の描き方はすごく新鮮だ。 前に読んだ「神秘列車」と通じるものがある。 とても面白い。

松戸与一、「河畔に標なく」 先日、友人とエベレスト街道を歩きに言った時のことだ。部屋の窓から、テラスから エベレストが観れるというのが売りのエベレストビューホテルに泊まった。 2泊3日を歩き通して3880メートルまでやっと辿り着いたのに、えらい天気が悪い。 2泊する予定やし、乾季の真っ只中やからまさか雨が降らへんやろし、偶々 天気が悪くても1日くらいは晴れるやろと高を括ってたら毎日森々と雪が降る。 そういう状況は旅のブログで詳しく書くんでそちらを見て頂きたいんやけど、 その雪の間はどこも行けなくてホテルで暇つぶしをするしかなかった。仕方ないんで ロビーの喫茶コーナーでダラダラしてる時にこの本を見つけた。どうせ暇つぶし やからとぼちぼち読んでたら、とても面白いではないか。 軍事政権下のミャンマーの話だ。ミャンマーは去年行ったばっかりやからとても 興味がある。 民主化運動で逮捕された男がいる。サディストのような刑務所副署長に連日おのれの 楽しみのために拷問されている。ところがある日突然その男が刑務所を脱出した。 副署長は官憲よりさきに男を捕まえて口を封じなければならない。 ミャンマーでも観光化が進んでいる。外国人向けの高級リゾートを作ることが 大きなビジネスのチャンスだ。ある男が自分の夢を叶えようとしてる。しかし、 おいしい話に群がる欲深い男たちに食いつかれボロボロにされそうになっている。 どうしても金を作らないといけない。 中国マフィアの手先になって軍部の腐敗した連中と麻薬の取引をしてる男がいる。 しかし、身辺があやうくなってきた。最後の取引の金をネコババしてどっかに ずらかろう。 そして、ヘリが墜落。 […]

最近読んだ本、「楽園の世捨て人」、「大鮃」

トーマス・リュダール、「楽園の世捨て人」 珍しく爺さんがカッコよく活躍するサスペンスだ。ストーリーに関係なく頑張れよって 言いたくなる。 舞台はスペインの楽園観光地カナリア諸島だ。そこでもう世を捨てたかのような 爺さんが固定客だけが相手のピアノの調律とタクシーの運転手をやっている。 ある日、海辺に乗り捨てられた車の中で生後間もない赤子の死体が発見された。 金に困った売春婦あるいはそれ紛いの女が始末に困って置き去りにしたんやろと言う ことで警察も世間もそれど終わりにしようとしてる。 しかし、何かおかしい。どうも納得できん。エアハートが動き出す。あちこち嗅ぎ回ってると 色んな事実が浮かび上がって来る。これは事件に違いない。 そんなある日、突然、事件が。 親友ラウールの彼女が瀕死の重傷に。親友はどこに消えた? ベアトリスをどうする? 事件を掘り起こすうちになぜか大きな暗闇に触れたのかもしれない。 つぎつぎと危ない事件が身に迫る。 とても異色な感覚のサスペンスで爺さんの活躍がカッコいい。 爺さん、婆さんの濡れ場まである。 とても楽しい。

藤原新也、「大鮃」 大分前に、この作家の「インド放浪」と「西藏放浪」とを読んだことがある。 とても面白い本だった。よくある紀行文やバックパッカー見聞録みたいなのとは 全然違うのだ。たまたま異郷のどこかにいて、あるいは彷徨いついて、何かを 見つめている。そした何か心象風景のようなものを切り取れるそんな瞬間が訪れる のをじっと待ってる。わしにはそんな感じがした。本には沢山の印象的な写真が 載ってたんで、もしかしたらこの人は写真家かもしれんと思ったらやっぱりそうやった。 それで、書店でこの本を見た時、あああの人は小説も書いてるんかと思い、どんなん やろと興味を抱いて図書館で予約した。 ある日、太古はスコットランドに旅にでる。父の故郷オークニーを見て見たかった、 というよりは何かに導かれて来てしまったかのようなのだ。 来てはみたもののそこは荒れ海と風が吹きすさぶ荒地の海岸だ。ただ一つとも 言えるホテルに泊まっても行くところもないかもしれない。ホテルで読んでもらった ガイド兼ドライバーは何十年も乗り続けた彼の風貌とおりの車とともにやってくる。 この海辺の村の彼が考える見所をあちこちと案内してくれる。 そして実はこの男、凄まじい人生を背負ってきたのだ。案内のみちすがら徐々に それがわかってくる。 見所って、決して観光名所ではない。この荒海と烈風吹きすさぶバイキングの時代 からの漁師の村の原風景を見せてくれてるかのようだ。それはもしかしたら、父と 若者をつなぐDNAを揺さぶるかもしれない。 それは一体何なのか? 若者は何に出会うのか? 幻の大鮃とは? 出て来る男たちは老いてもとてもカッコいい。 じわっと感動できる物語だ。

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最近読んだ本、「蓮と嵐 」、「強父論 」、「南蛮阿房列車」

ラン・カオ 、「蓮と嵐 」 開高健の「輝ける闇」はすごいなあって思った。近藤紘一の「サイゴンのいちばん長い日」、 これもすごい。グレアム・グリーンのおとなしいアメリカ人、これもすばらしい。 他にもベトナム戦争を舞台にした本はたくさんある。タイトルを見たり噂を聞いたりしたら つい読んでしまう事が多い。 戦争の悲惨さ、戦争に巻き込まれる人たちの苦悩と悲劇、戦争によって壊れてしまう 心たち。考える事は沢山あった。惹きつけられることも沢山あった。それが何か はようわからんまま、気がついたら何度も「サイゴン」、今でもホーチミンよりこっち の方が親しみやすい呼び方とちゃうやろか、に行っていた。よう考えたら唯の物見遊山、 本に話の裏に表に垣間見えるサイゴンやら東南アジアの妖しい熱気に惹かれてただけの ようでもあった。 この本ではは又違う驚きがあった。 乱暴な言い方をすればあっちから見た世界とこっちから見た世界だ。 わしは愚かにも、あのサイゴン陥落の日、これで戦争が終わったら、いきなり平和がやってきて 秩序がやってきたと思ってた。でも現実はそんな生易しいもんではなかったのだ。 マイはアメリカにいる。サイゴン陥落の日に父親に連れられてヘリで逃れたて来たのだ。 でももうすでに心は壊れてしまったかもしれない。 父親も殆ど寝たきりの生活になってしまった。 家族で過ごしたサイゴン最後の日々が蘇る。 ロックとコカコーラが大好きな娘たちとアメリカ兵との交流。そして悲劇が起こった。 戦の中の街に常にある悲劇。 姉はどうなった? 家族はどうなる? 誰が敵か? 誰が味方か? 信頼と裏切り、愛と欲望。 そして戦いは終わった。 本当に? 平和と幸せが? 本当に? 手ひどい仕返しが始まる。 大量のボートピープル。 なぜか必ず現れる海賊たち、略奪と強姦。 母はどうなった? おじさんは? 親しかった人たちは? 夢中で一気に読んでしまった。 とても印象深い本だ。

阿川佐和子、「強父論 」 テレビでも活躍してるし、エッセイストとしても有名やし、阿川弘の娘さんやし、 てなことで興味を持って読んでみた。個性強い父の姿や、志賀直哉家との交流など いろいろと楽しい内容であった。 それで、気になってお父さんの本を読み直してみた。

阿川弘、「南蛮阿房列車」 内田百間の阿房列車をもじった鉄道話だ。有名な鉄ちゃんらしいから旅の話として とても面白いし、鉄道に対するこだわりも楽しい。 マダガスカルの鉄道、アフリカの鉄道、イギリスの鉄道、ヨーロッパの鉄道、 台湾の鉄道、アメリカの鉄道・・。列車の中の話も面白いし、それにまつわる 土地土地の話もおもしろい。でもやっぱり内田百間がええかなあ。 […]

最近読んだ本、「台湾生まれ日本語育ち」、「大絵画展」

温又柔、「台湾生まれ日本語育ち」 滅茶苦茶面白いわけでもないし、波乱万丈でもないき、奇々怪界でもないし、 起承転結の起伏が激しいわけでもないけど、ついつい先を読んでしまう。 読んでいてとても優しい気持ちになれる本だ。 家庭の中で、ごく普通に、ごく自然に、台湾語で喋ってるかと思ったら、中国語に なってたり、ある時は日本語になってたりとそういうのがごく普通にあるのが 台湾なのだそうだ。ごく普通の家庭でも台湾語と中国語は当たり前のように 混ぜ混ぜで喋られるし、日本統治時代に日本と関係の深かった人や、そうでなく ても日本や日本人と関係の深かった人が家庭にいるとこれに日本語が加わるのだ そうだ。 なんと素晴らしい。わしらは子供の頃から殆ど外国人と接することはなかった。 そのせいかどうか、中学校に行って英語を習い始めたところで唯の勉強の一科目、 コミュニュケーションの手段として考えたこともないし使えたことも勿論ないと いう日本人が圧倒的だと思う。素直にかっこええなあって思う。 現実はそんなええことばっかりではないのは明らかだ。 いろんな暮らしの中のいろんな悩みや歪みも淡々と語られる、とても心地よい エッセイ集だ。台湾総統選挙の話、台湾海峡、馬祖の話、とても良い。

望月諒子、「大絵画展」 これは、ある知り合いの方に教えていただいて早速図書館に予約した本だった。 映画や本や、いろいろ情報を教えていただける知り合いがいるのはありがたい。 いやあ、実に面白い。とても良い本を教えていただいた。 ある時、ロンドンの有名なオークションでゴッホの名画、「医師ガシュの肖像」が 競売にかけられた。第二次大戦後正規の持ち主を巡って数奇な運命を辿った曰く付き の絵画だ。なんとそれが、日本人の実業家に落札されたのだ。そのオークションを 代理で勝ち取った謎の日本人の男とは一体だれなのか? そして、絵画はまた数奇な運命を辿るのか? 持主の会社の破綻と共に名画はまた闇の中へ。 そして、謎の男を巡って、あるいは今はわからない何かを巡って、事件が次々と 起こっていく。 なんとなく暗くて陰惨な話になりそうな予感がして読むのをやめようかと思っていると 事件は意外な展開を迎える。 ここからがとても面白い。何もかもが一気につながっていくかのようだ。 果たして、絵画はどうなるのか? 絵画をめぐるひとたちはどうなっていくのか? そして意外な結末も。 確かに、割と安易なミステリーのようでもある。しかし、絵画の価値ってなんやろ? たかがゴッホ、されどゴッホ、それで何十億円か? あると思えばある、ないと思えばまったくないかもしれへん価値? しかし、本物を見れる人にはそれがわかるのか? その魔力とは? 金なのか? 絵の力なのか? 価値のわからんもん同士でゲームが成り立つのか? 色々考えるととても楽しい。

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ありがとうございました。

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最近読んだ本、「舟を編む」、「伯爵夫人」

三浦しをん、「舟を編む」 本を作る、特に辞書を編纂するという現場を舞台にした小説は初めてでそのこと 自体がとても新鮮だった。 ちゃらい系の軽い青春群像小説みたいなんとちゃうやろかと読み始めは危惧しながらだった。 確かにそういう傾向はありつつも読みながらぐんぐん惹きつけられるところもある 面白い本であったと思う。 玄武書房という出版社の編集部で「大渡海」という国語辞書を編纂すると言う仕事を もう何年も続けている編集者にもまだ先が見えない。そんな中で編集者にもとうとう 定年退職が迫ってきた。この先どうなる? 誰か引き継いでくれるんやろか? そんなところへ営業部から馬締という青年が転属してきた。 役立たずを押し付けられたのか? 辞書はどうなる? 編集者や松本先生の心配を他所にこの青年は実に適任だったということが段々 わかってくる。桁違いの変わり者、真面目人間、こだわりマン、特に言葉に 対するこだわりがすごい。これは役に立つ。編纂作業は一気に捗るのか? それでもいろんな障害が発生する。紆余曲折がある。どうなることやら? 時たま、○○なる項目を辞書を引いてたり、ネットで調べたりしてるときに具体的な 説明なしに□□の項目を見ろと書いてあって、なんやこれはと思いつつ□□を 見ると○○を見ろと書いてあったりして、えらいムカつくことがあるけど、 辞書作りってそんな風にならんように願いたいといつも思う。 とても軽いけど、分かりやすい、楽しめる本だった。

蓮實重彦、「伯爵夫人」 なんじゃこれはってすぐに思ってしまう。えらい驚きに満ちた本だ。 元、東大総長が書いた本ということで、それなりに格調高いんかと思いきや、 そういう部分もないではないけど、なんと、いきなり濃厚なエロチック世界へ。 そして昭和ロマンのデカダン的な世界かと思いきや、もちろんそうでもあるんやけど 、戦場と軍人と貴族と政治家たちを巻き込んだ支離滅裂のグロテスクな世界へ、 ○○タマつぶしの荒技を秘技とする伯爵夫人とは一体なにものか? 東大進学を前にした二郎が巡り合ったのは怪しげな貴婦人? 二郎が女を誘惑したのか? 女が二郎を手玉にとっているのか? とりまく女たちも手練の技を隠さない。 空想から妄想の中へ、過去から現在へ、出たり入ったり、めくるめく想念の流れ。 わしのようなクソ真面目な人間にはとてもついていけない。 あっちかと思えばこっち、そっちかと思えば意外な事実が。 映画で出てきたようなシーンや主人公みたいな人たち、小説に出てきたような キャラクター、そういうのがこれでもかと駆け巡る。 「ばふりばふり」、「ぷへー」 いやはや、場面、場面に引きずり回されてやっとついていけるかという、荒唐無稽、 気宇壮大、なんやらようわからんエログロ小説? 官能小説? 格調高い小説? 企みがいっぱいのようである。 まあ、一度読んでみて下さい。 表紙もええではないですか。

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ありがとうございました。

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最近読んだ本、「今夜の食事をお作りします」、「我れ、美に殉ず」

遅子建、「今夜の食事をお作りします」 思わず胸がキュンとなるような悲しく切ない話であり、哀れを誘う話であり、 ユーモアたっぷりの話でもある。いずれにしろ心に沁みる話が多い。 もう大分前になるけどネットで何かの情報をググってたら、中国でもオーロラが 見えるとこがあるという情報があった。そのあたりには民宿があって、中国人の 旅行者に大人気なのだそうだ。是非一回行ってみたいと色々調べて見たんやけど 結局ようわからへんかった。 それが黒竜江省漠河県北極村 というところだった。 この小説の舞台になっているところだ。 なるほどこういうとこやったんかと実によくわかる。其の地の厳しく貧しい暮らしが 目の前に立ち上がってくるようだ。 夫がその村に役人となって居を定めたらしい。家を売って引っ越してこいという 連絡が入った。女は1壼のラードと家を引き換えて子供を連れて旅にでる。 考えられへんような過酷な旅だ。 上質のラードは漲る力を生み出す。子供もできた。そしてある日、壺の秘密がわかった。

夫と妻の心はとっくに冷え切ってしまったのだろうか? 夫はこれみよがしに他の女 との逢う瀬を楽しむ証拠を残して居なくなる。妻はいたたまれない。どうやって見返して やろう? 1人で街にでて見知らぬ街をふらつきあるく。そして、「今夜の食事をお作りします 」という 貼り紙に応じた男の家に行って飯をつくる。 なんと哀しい。 そして、何かが起こる。そして、本当の事が分かって来る。 そして、取り返しのつかないことが。 短編集 ラードの壺 七十年代の春夏秋冬 割り木の暮らし ロシア人の老婦人 今夜の食事をお作りします プーチラン停車場の十二月八日 ドアの向こうの清掃員 ねえ、雪見に来ない 黒竜江省漠河県北極村 、川の向こうはもうロシア人が暮らす土地だ。 オロチョン族の村でもある。 じっくりと読める良い本だった。

小嵐九八郎、「我れ、美に殉ず」 ある日、偶々テレビを見てたら久隅守景の特集をやっていた。 この人の夕涼みの絵は大好きやけど、四季農耕図みたいな絵も描いているようで それがとても気になった。しかし、詳しいことはようわからへん。ネットで色々 調べてるうちにこの本に行き当たった。 どんなんかようわからんけどまあ読んで見よう。 久隅守景、英一蝶、伊藤若冲、浦上玉堂の4人の数奇な人生を描いた本であった。 久隅守景 狩野派の塾頭でありながら、人生の巡りが悪く、破門の憂き目に、そして異端に走る。 そんな絵がええんよね。 英一蝶 将来を嘱望されながら、己のおごりか、運の悪さか時の権力のお咎めを受けて島流し、 それでもええもんはええ、誰かが分かってる。 伊藤若冲 […]