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熊野古道、小辺路の旅04ー野迫川村の朝。

さて、熊野古道第一夜だ。早く寝よう。疲れてたら寝つきが悪い。それにエアコンが ないやんか。えらいもんで、さすが熊野古道の宿、夜はエアコンが要らんみたいだ。 合宿中の若者たちも行儀が良い、夜遅くまで騒ぐことはなかった、夜はどんどん 静かになっていく。虫の声が聞こえるくらいだ。 突然雨が降って来た。恐れていたことがやったきたのか? えらい雨音だ。明日はどうなる? 雨の中を歩くっていややなあ。特に山道は ぬかるんだら大変。滑って歩かれへん。寝てる部屋の窓の外は裏山だ。そこに ゴウゴウと雨が落ちてくる。えらいこっちゃなあ。明日の朝までにやんで欲しいなあ。 うじうじ思ってるうちに寝てしまった。 朝も虫の声がやかましい。もしかしたら雨が止んでるんではなかろうか? よかった。いけそうだ。 では朝ごはんをいただこう。

朝ごはんもなかなか豪華ではないか。とても美味しい。となりではフランス人も 朝ごはんを食っている。お箸の使い方がとても上手だ。どれも残さず綺麗に食べて はる。それではペットボトルにお茶を詰めてもらって、予約しておいたお弁当も もらって出発しよう。 民宿の方に登山口まで送っていただく。 なるほどここが大股のバス停か。

本当はここまで歩いてから、公衆電話で民宿に電話して迎えに来て貰わんとあかん かったのだ。ネットをみてると先人がそういう段取りを書いてくれてはる。 山の中は携帯電話が繋がらへんから公衆電話が必須とある。なるほど。おやっ? 公衆電話が撤去されてるやんか。そういえば昨日、携帯で電話したら繋がった。 事情はどんどん変わっていく。今や山の中でも有線電話より携帯電話が優先に なりつつある。

雨はしばらく降りそうに無い、ラッキーだ。では、出発しよう。今日は伯母子岳の 山頂経由になる。今回で一番きつい登りになりそうなんで気合をいれていかんとあかん。

おやまあ、いきなり急な登りだ。延々と登りが続く。つらいなあ。休み休みちびちび 登る。友人の一人が遅れ始めた。ちょっと調子が悪いんかな? よくあることだ。 元々体力抜群の人やから軽く考えてた。 今回は3人で歩いてるけど、多分、一番体力的に劣るのはわしやと思う。そやから4日間 もつかどうか心配やったのだ。普段から十分鍛えてる人でも時には不調な場合もあるんや なあとまだまだ軽い気持ちだ。 いろいろ思わぬことが起きていくのはこれから後のはなし。とにかく休みながら ゆっくり行こう。 萱小屋跡にでた。

小屋跡って言うても十分使えそうやし、薪もあるし、使ってるんとちゃうやろか? まだまだ急坂が続く。 時々ゆるい道になるととても嬉しい。

薄霧がただよう山道の景色も気持ちが良い。

延々と登ってやっと桧峠までついた。

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ありがとうございました。

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熊野古道、小辺路の旅03ー野迫川村、大股、「民宿かわらび荘」。

車で迎えに来ていただいて、気持ちヘロヘロ、足ガタガタになってやっと本日の 宿泊所、「民宿かわらび荘」に着いた。道路から入り口まで階段がある。こんな 段すらギクシャクロボット歩きで登る。目の前を若者たちが走っている。

何かと聞いたら、同じ宿に泊まってる奈良の高校生、陸上部の合宿中らしい。 元気やなあ。見てるだけで嬉しくなるほどだ。 とりあえず一息ついたらビールで乾杯して本日の頑張りを自分で自分に褒めて あげよう。

なんだかんだとうだうだしてると、「近くに温泉あるけど行きますか?」と宿の店主さんに 声をかけられた。普段、あんまり風呂好きではないわしやけどこんなときは温泉に 入って癒されたいって本気で思う。ここから車やと4、5分で行けるらしい。もとより 歩く気は全く無い。入浴料も宿泊客やからか負けてもらって大きな浴槽にゆったりと 入る。

露天風呂があったらもっとよかったんやけどそんな贅沢は言うてられへん。 とても気持ちが良い。 この温泉は、旅館あるいは民宿であるけど、お風呂だけのお客さんもいけるらしい。 車で来たキャンプしてるんやろか? それともドライブで遊びに来ただけなんやろか? 家族連れで来た人たちが何組か入ってきた。もちろん混浴ではない。 お風呂に堪能して、すぐ堪能するんやけど、ロビーに出ると、先に入ってた人たちが くつろいではる。ソフトクリームを食ってる子供がいてメチャうまそうだ。 疲れて、暑い風呂に入ったあとやからさぞかし美味しいやろ、わしも真似をしよう。

うまい。ビールよりこっちの方が五臓六腑に沁み渡るかもしれん。 民宿に帰ると、フランス人も既に到着していた。 一休みしてからわしらは晩御飯にしよう。

これはすごい。えらいたくさんあるではないか。アマゴの塩焼きにソーメン、 他にもたくさん。

そのうえ牡丹鍋もある。地元でとれたイノシシらしい。 とても美味しい。フランス人にも山で鉄砲で撃ったやつやとみなで身振りで説明 すると、わかった、わかったと喜んで食ってはった。宿の人に話を聞くと、熊野古道は 外人さんにも人気があって宿泊客も多いらしい。とくにフランス人が多いって言って はった。中国人はほとんどいないらしい。 サンティアゴ・デ・コンポステーラの影響やろか? それやったらスペインやし、 スピリチュアルな感じが好きなんやろか? わからんけど来てくれるのはありがたい。 最後におじやをくうかどうか? また、やどのおばあさんも一緒になってわあわあ 説明して、美味しかったって言ってもらった。 合宿の学生さんたちも盛り上がってる。 民宿のご主人夫婦もおばあちゃんも精一杯もてなしてくれる。 とても暖かい気持ちになれる。 さて、お酒も飲んでお腹もいっぱいになったんで、すこし寛いで、さっさと寝よう。 まだまだ先は長い。

民宿 「かわらび荘」 住所 〒648-0307 奈良県吉野郡野迫川村大字北今西841 […]

熊野古道、小辺路の旅02ー大滝集落から大股へ

高野山を出てからいままでずっと樹林帯の中を、しかも全く人家のないところを 歩いてきたけど急に集落があったんでびっくりした。昔はあたりまえやけどスカイラインや 国道がなかったんで熊野古道始め山の中を縦横に行き来する道があたりまえやし それをベースにそこで暮らす人たちも居れば、そこを往来する人達のための宿なんかも あって、山の中の暮らしと賑わいすらあったはずなんやけど、大きな道がずっと下に ついてしまったんで、そういう暮らしが下に降りてしまって、山の上の暮らしが どんどん無くなってしまったのだそうだ。わずかに残るこういう集落がなくなって しまわないように祈るばかりだ。 若い頃は登山をすることもよくあって、奥駆けこそしなかったけどテントを担いで 大峰山系の山に入るのが好きやった。紀州熊野の山には、日本アルプスなんかの 高くて険しい山に登るのとはまた違った魅力があると思う。 何故かと言われると難しい。 宗教性とか神秘的とかパワースポットとかあんまりのめり込む気はないんで、道 を歩いてても魂をゆさぶられたり天の声にひれふしたりすることはないんやけど、 緑深い木々の間をフィトンチッドを浴びながら森林浴気分で歩くのはとても気持ちが ええし、時々ガスが出て視界がぼんやり曇ってきたら、それも又景色としては とても良い感じだ。もちろんそれが雨になる予兆であることもあって、そんなときは 本降りにならんよう祈るだけだ。

そんな事を思いながら山道を登ったり下ったり。 しばらくするとスカイラインと合流してしまった。この先しばらくアスファルトの 道路を歩くことになる。

この道は面白い。奈良県に入ったり和歌山県に戻ったり、又奈良県に入ったりの 繰り返しだ。

時々遠くの山が見える。

アスファルト道路は起伏がすくないけど道が硬いんで結構疲れるし、おもろない。 早く樹林帯に入りたい。 やっと樹林帯に入る道の入り口まで来た。

ここらで昼飯を食おう。 山歩きの楽しみの一つは弁当を食うことだ。何はともあれ腹が減っては戦が出来ん、 足が前に進まんようになる。でまあ、道端の石にこしかけてちゃっちゃと食ってしまう。 元気がでたらまた頑張ろう。

こんな道はとても歩き易い。

それに標識が完備してるんで殆ど迷うことがない。

ここらへんは水ヶ峰集落というのがあったらしい。昔、活況を呈した村がどんどん 無くなっていく、寂しい限りだ。

あれっ、又、スカイラインに出た。ではなく林道に合流した。

ここから出たり入ったりの繰り返しだ。 少し歩いて展望台に出た。

なかなか景色がええし、風が吹いて涼しい。

椅子もあるんでゆっくり休憩してたら外国人が追いついてきた。 フランスから来た人らしい。今から昼飯やというてピザを食い始めた。 やっぱりおにぎりは合わんのかなあ。ものすごくデカい。 後で聞いたら2メートルあるんだそうだ。今は2時頃、聞けば10時頃高野山を […]

熊野古道、小辺路の旅01ー高野山から。

ずっと前に、那智大社から大雲取越え、小雲取越えをして本宮大社へ向かう熊野古道の 旅をしたことがある。初日からギックリ腰になりえらいキツイスタートやった。 ポカポカと尾根道を散歩しながらと甘いことを考えてたらガレ石だらけのとても 険しい山道やって大雲取越えを1日歩いたらへとへとになって2日目の小雲取越えは 歩くのを断念してバスで迂回してしまったという悲惨な結果となった。今回は、 高野山から小辺路ルートを歩いて本宮大社に向かおうという前よりはるかに強烈な コースだ。 1日目 高野山から大股まで16.8km 野迫川村 大股泊 2日目 大股から伯母子山を越え三浦口まで15.9km 十津川村 三浦口泊 3日目 三浦口から十津川温泉まで19.2km 十津川温泉泊 4日目 十津川温泉から果無峠を越え本宮大社まで16km 田辺経由で帰る 1日、1日はそれぞれ7、8時間とすれば無茶苦茶無理なコースではない。むしろ 楽勝かもしれん。しかし、それが4日続くとなると結構キツイんとちゃうやろか? 足腰がパンパンに張って、体中が固まって3日目あたりから歩かれへんようになるんと ちゃうやろか? 同じ年の爺さん3人の旅やからなあ。とても心配だ。 それにこの時は8月1日、1年で一番暑い日とも言える時だ。暑さにやられてヘロヘロに なるかもしれん。 一方、こないだエベレスト街道を延々と歩いた時もまあ大丈夫やった。こんども いけるかもしれんと言う甘い期待もある。まあ、とにかく行ってみんとわからへん。 出発は九度山のわしの家から。

電車に乗って極楽橋まで行く。 ケーブルカーに乗り継いで高野山、バスに乗り継いで、千手院橋までついた。

バス停から進行方向に少し歩いて右に曲がる。すぐやから気をつけんと通りすぎて しまう。金剛三昧院の石標が目印だ。 不安ながらも歩いていると標識が出た。

ここを右折してさらに進むといきなり急な登り坂だ。突然やからしんどい。 ろくろ峠までぐんぐん登りが続く。

今日は下るだけやって思てたのがえらい間違いやった。登りばっかりやんか。 行程はまだまだ序の口、

尾根筋を登りながら薄峠までついた。

なかなかしんどいなあ。 休憩を終えて歩き始めた。ここからしばらく下りだ。ありがたい。 道も歩きやすい。

目印の丁石もある。

前は九度山から高野山までの丁石道を歩いたことがある。この丁石は本宮大社から […]

九度山暮らしのある日、高野七口の一つ黒河道を歩く-04、やれやれ橋本に到着

さて、市平橋についたらえらい賑やかだ。スタッフも沢山出迎えてくれる。 ここでトイレに行く人は送迎バスに乗って5分ほどのところまで行かんとあかん のだそうだ。休憩やらトイレやらなんやらかんやらでチームも組み替えて、再出発 するそうだ。最後のリタイアする人もここで車に乗る。 そんな騒ぎでてんやわんやになってる。満開の桜をぼっーと見てたら何が何やら わからんようになってる。皆さんトイレにいくからなかなか次のチームが組まれへん。 しかも、片道5分の送迎バスは30分待ってやっと帰ってくるというしまつだ。 あっという間に14:30頃になってしまった。 それでもここでごっそり減るんかと思ったメンバーがあまり減らずに再出発。 ここから一山越えるらしいから登りが始まる。 一気に下って下って、長く休んで、又登りとわかると結構きつい。 腹も減った。 コンビニなんかありそうにない。 もうちょっと頑張ろう。 橋をでたら数メートルで山道に入る。ここから延々と登りが続く。 暫く歩くとすぐに前がつかえた。登りはみんなしんどいから、どうしても遅くなる。 十分距離が離れて出発したはずでも追いついてしまうのだ。 ここから先は小さなせせらぎに沿って進む。 樹林帯の中を水音を聞きながら歩くのは気持ちが良い。 このあたりを、「わらん谷」と言うらしい。 時々、滝が見える。

小さい滝ながら結構姿がよくて風情がある。 道は谷間を縫って上がって行くんで思ったほど急登ではない。

道は時々川を渡るんで渡渉はないけど足場がよくないんで丸木橋を渡るのが 危ないときもある。

林の中の木と木の間に小さな平地が見れるところがちらほらある。これは、昔の 田圃跡らしい。江戸時代にこのあたりは年貢の取り立てがあまりにも過酷やったんで こんな風に隠し田を作ってしのいでいたのだそうだ。こんな山の中まで検地には 来いへんかったんやろ、えらいもんだ。

大戦中にも耕作された時があるらしい。

しばらく喘ぐと山道が終わった。そこからは舗装された林道だ。これを登り切ると 明神ヶ田和という集落に着いた。 やれやれこれで登りが終わりだ。 集落内は通り道だけなんで休憩したいけど、大人数がわらわらしてるとえらい 迷惑になる。一息だけ着いたら出発だ。 時々、舗装の林道に入りながらも古道をえらんで下る。 わしはぎっくり腰を庇いながら歩いてるんで硬い舗装の降りは結構こたえる。 さて、とうとう視界が開けて街がみえた。

ここらが五軒畑というらしい。 展望台まで出ると、橋本の街が一望できる。あの橋を渡ったあたりが終着点だ。

あと少し。もう足がガタガタしてきた。

どんどん降りて定福寺まできた。ここが黒河道の起点らしい。 感慨に浸る間もなく気持ちは先を急ぐ。早く終わりにしたい。けど足ががたがたや。 アスファルトの平地をロボットみたいに歩く。 紀ノ川にかかる橋を渡って応基寺にやっと着いた。

[…]

九度山暮らしのある日、高野七口の一つ黒河道を歩く-03、市平橋へ

久保小学校というのは明治9年創設なのだそうだ。昔はこんな山の中でも沢山の 人が住んでたらしい。一時期銅鉱石が発掘されて活況を呈した時代もあったらしい。 そういえば、弘法大師の言葉に玉川の水は毒があるから飲まないようにという のがあるらしい。玉川というのはここを降りきったあたりの川ではないかと思う けど、上流に毒虫がいるからというのだ。そんな事をいうはずはないと雨月物語 にもでてくる。しかし、もしかしたら銅鉱山からでる化合物が水流に混ざってたん かもしれん。それに遙か昔には水銀も採れたらしく、丹とか丹生とかいう言葉が 人の姓や神社の名前などに残っている。 もう今は何も採れへんし、人の活況もなくなってしまった。 栄枯盛衰、諸行無常・・・。 昼休憩で英気を養ったはずやのに、中途半端でまだ空腹感が残ってる。腹が減ったら 人は弱気になるのだ。 で、下り始めたら山道が大きく開けた。

畑跡のようなところだ。いやもしかしたら現役なんか? ええ感じの耕作地になってるように見える。 東南アジアやったらあたり一面巨大な棚田ができてそうなところだ。 しかし、現役やとしたら、ここで米や野菜を育てるには良くても、その手入れや 収穫が大変やろなあって思う。 山際に桜が咲いて綺麗だ。 畑の真ん中に何かが祀られている。 畑の真ん中って言うのがようわからん。何となくスピリチュアルな雰囲気を味わってる 暇もなく道はどんどん下る。

地図の等高線もかなりきつい。 この標識で、久保小学校から市平の村落への中間くらいか?

おや、これってコンニャクの花が咲きかけなんやって?

初めて見た。 道は更に下る。落ち葉が積もって滑るんでかなり歩き難い。

「この下りは急やで、まだまだ先は長い」ってガイドさんが言う。 コンビニでもあったら何か買って食おうと思うけど、あるはずもない。 しばしばズルッてすべりつつ下方に向かう。こんな道、登りも大変やろけど降りも えらいきついなあって思いつつ歩く。降りばっかりやから楽な一日やと思い込んだ のがえらい誤算だ。先頭集団と後続集団の2極化がますます激しくなる。 先程、久保小学校でリタイアする人を調べてた。所々のポイントに車を配置して 落ちこぼれ組を拾っていく段取りらしい。今度は先ほどの標識あたりでお迎えが いた。さすがに何人かがそこで帰っていった。やはり相当、足にこたえる行程 なんで、山爺さん、山婆さんたちでもリタイヤしたくなるほどなんやろ。 1時間以上下って、やっと川が流れる音がなんとなく聞こえ始めた。 もうすぐかな? あの先を曲がったら? まだまだ先が続く。 後から思えばこの行程が一番長くてつらかった。これが所謂太閤坂というやつ らしい。 やっと、小さな集落が見えた。お堂の側に集合して後続組を待つ。これでちょっと休める。

しかしトイレは次の市平橋まで行かんとないらしい。 後続は遅い。20分以上まってやっと、次のチームの人達と一緒にやってきた。 えらい元気でお喋りしながらやってくる。 で、合流したらすぐに出発。 こういう登山って遅れたら待ってはくれるけど追いついたらすぐに出発なんで […]

九度山暮らしのある日、高野七口の一つ黒河道を歩く-02、久保小学校跡へ

さて次の目標は久保小学校跡あたりかな? 今は平地の桜はちょうど散りつつ ある頃やけど校庭には大きな桜の木があるというんでもしかしたらまだ咲いてる かもしれん。時間からするとちょっと早い昼飯かな? 楽しみやなあ。

元気をだして先に進もう。 ここからはどんどん下る。

結構急坂ではあるけど比較的歩き易いんでどんどん先に行ける。 こんな山の中でも時々道がクロスしてるんでどっちに行ったらええかわからん時も ある。このあたりは東郷分岐というらしい。

標識が整備されているのがありがたい。今回はガイドさんがいてはるんで心配 ないけどね。時々、木の間隠れに遠く橋本市の街の景色が見えるのがおもしろい。

しばらくは上ったり下ったりだ。 少し登り返すと、尾根筋にでた。この左上に高野豆腐発祥の跡があるという。

何人かが興味を示して登っていきはった。わしはもうええと思う。高野豆腐は 食うもんであって見るもんではないと思う。しんどいから面倒でもある。 尾根筋を登ったり降りたり。

こういう道を歩くのはとても気持ちがいい。

尾根筋やから見晴らしも悪くない。 そろそろ下り初めて、長い下りをどんどん歩いて行くと久保小学校跡が見えた。

先着隊がもう寛いではる。ここでお昼休憩かな? やれやれ。 ここはもう廃校になった校舎跡だ。改築直後に廃校になったらしく結構まだまだ 使えそうなほど新しい。前に言った高野七口再生保存会の活動の事務所などにも 使われているらしく、今でも生きている感が濃厚だ。 で、やっぱりここで1時間ほど休憩するらしい。校庭や校舎が解放されてるんで どっかに落ち着いて昼飯を食おう。 校舎の廊下に座って、やおらリュックを開けて弁当をだす。 ん? 無い。 どっか奥にまぎれこんだか? 殆ど入ってない荷物をぐいぐい押しのけて手で 探るが無い。おかしい。家を出るとき確かに入れたはずやのに? 荷物を全部出してみるけどやっぱりない。 こんな山の中で店があるわけもないのに食うもんがないという現実を受け入れる のに時間がかかる。 えらいこっちゃ。しかたがない。幸い、今回は家人も行きたいというんで同行 してる。しかたなんで半分わけてもらう。 昼飯は一瞬で終わった。 こうなると休憩時間はえらい長い。校庭に出てぶらぶらするが時間をもてあます。 皆さんは美味しそうにお弁当を食べてはる。 しかたないんで上を見ると大きな桜の木があった。

もう散りかけてる? ようみたらふくらんでるつぼみが一杯ついてる。 これから咲くんやなあ。山の春は遅いようだ。満開になったら綺麗やろなあって […]

九度山暮らしのある日、高野七口の一つ黒河道を歩く-01、始めに

高野山に歩いて登る道は当たり前やけど昔からある。当たり前やけどいく通りも あるはずだ。それを7つの代表的な登山道として整理、整備して保存しようと努力 されてる方達がいるらしい。高野七口再生保存会と言うらしい。 わしの知人の1人がそういう活動をされているというのは知ってたけど、偶々話を する機会があったときに、その内の一つ黒河道を下るというイベントがあるって 紹介された。

ちょうど、この夏に友人と高野山から小辺路に向かう熊野街道のきついルートに 挑戦してみようと企んでるんで、方角はちゃうけどおんなじ山中やから様子見がてら ちょうどええかなって思う。しかも下りルートやから楽々やんかと安心しながら 参加させてもらうことにした。これがえらい間違いなんよね。 集合は高野山大学の入り口のとこらしい。 電車とケーブルカーとバスを乗り継いでそちらに向かう。

服装や会話のはしばしでほとんどの人は同じとこへ向かうらしいとわかるけど、 カレーやラーメンの行列の先陣争いやないんであせる必要はないとばかりゆったりと 高野山大学へ到着。予想をはるかに超えた人が集まってるではないか。聞いてみたら 80人強の人が参加するらしい。もうてんやわんやの受付が始まってる。 主催者側(役所の人たちかな?)も並ぶ人たちも慣れないもんで右往左往しかねへん。 やっと20人ずつくらいの組になってガイドさんに前後を挟まれ順番に出発だ。 みなさん山登りイベントにかけては常連さんというような人たちがそれぞれ 仲間をくんで来られてるようで、えいえいおうと賑やかだ。 人数が多いのはええけど仲間内に我が物顔されたらいややなあ。 ガイドさんは保存会の方達なのかボランティアらしい。歩き慣れた足取りは軽くて 早い。ついて歩くには結構がんばらんとあかん。後続グループからはスピード 違反やでという声もあがるけど、前の方では歩き慣れた方達はぐいぐい体を入れて 前へと入ってきはるのがおかしい。 この黒河道というのは、昔からある道やけど、近年、太閤秀吉が高野詣でをしたときに 山上でどんちゃん騒ぎをしたらしい。すると忽ち嵐となって雷が鳴り始めたらしい。 これは神様がお怒りじゃと言う人がいて秀吉はあわてて山を逃げ降りたのがこの道 なのだそうだ。地図的にはほぼ一直線に山を下りれるけど道は険しい。 降りたけど天罰は受けたとは聞かんから無事やったんやろね。 今日の行程は19kmらしい。何時間歩くことやら。 最初の目印は黒河道女人堂跡。

高野山は女人禁制なんで、色んな道の最後の門の手前に女人堂があって女性が そこでストップさせられたのだそうだ。今は女性陣がどんどん先頭を歩いてはる。 時代は確実に変わっていってるんやね。 そこから広い道をタラタラ歩いて降りると、

じきに広場に出てトイレ休憩だ。 こんなんやったら、出発前にトイレでバタバタせんかったらよかった。年寄りは トイレのチャンスがとても重要なのだ。

トイレ休憩が終わったらそろそろ本物の山道に入る。

おお、これが一本杉か。

樹齢400年以上、周囲7.5m。魁偉な姿がええですなあ。 ここからずんずん下って。更に下ったら、上りに入る。峠越えだ。グループ内 でも先頭と後方の2つに分かれてしまったようだ。この上りで足がつったとか 思わぬ故障も出始めてる。 峠の上はもう登りがないんでありがたい。涼しい風で一息つく。

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九度山暮らしのある日、雪が積もった、マラソン大会があった

九度山暮らしの寒い寒いある日朝起きたら雪が積もっていた。雪がチラチラと 舞う日は今までにもあったけど積もっているのは初めてやった。

なんか嬉しい。子供の頃から雪が降ったら嬉しいという気分は変わらへんのだ。 さすが、九度山暮らしを始めたら冬は雪も積もるんやと半ば自慢げにFBに投稿 したりしてたら、この日は近畿一円が大雪で、京都なんかもえらい積もったらしい。 こんな事やったら、雪の京都のええ感じの風情をスケッチに行きたかったなあって 逆に羨ましく思ったりする始末だった。 それはええとして、今からウォーキングに行く時間だ。どうしよう。道も凍ってる みたいだ。でもまあこんな程度でくじけてたらここでは暮らされへん、行くべし と勇んでしゅぱつしたけど、九度山は坂の多い町だ。あっちでつるり、こっちで つるりとこけはせんかったけどよう滑るんでとても歩き難い。 チビチビとビビリ足で歩こう。まあいつもチビチビやけど。 で、いつもの慈尊院まで来た。うっすらと雪景色で気持ちが良い。

その上に、丹生官省符神社の階段が見えている。この階段は119段あって、 毎日練習の為に上り下りしてるやつだ。上に登ると、まだお正月だ。

この輪をくぐったらご利益があるらしい。 てなことで滑り滑り帰ったら、この日は九度山町主催で世界遺産マラソンという 大層なやつがあるらしい。早速コースを調べて見る。

なるほど、フルマラソンではないらしい。コースは山の上というか丘の上の 農道を走るらしい。車で行くわけにはいかんし歩いていくのは難しい。途中で 朝行った慈尊院まで周回する部分がある。ここで待ってたらええやんか。 10時半スタートみたいなことを書いてある。このコースやったら早い人は10分 くらいで来るんとちゃうやろか? 急いで行かんとあかん。 で行ってみると誰もおらへん。閑散としてる。ほんまにあるんやろか? にわかに心配になってきた。周りをうろつくけどやっぱり誰も居てはらへん。 もう少しうろつくと路上に大きな白い矢印が見えた。やっぱりここがコースや。 もう少しうろつくと慈尊院の上の丹生官省符神社の裏の空き地に係員の人が居て はった。よかった。ここで間違いないらしい。 みなさん焚き火にあたって待って居る。

この時点で10時半前だ。いつ頃ランナーは到着しやるんやろ? 係の人に聞いて みた。さあ、スタートが11時ですから11時半頃ちゃいますか? スタートの時間が まず違ってる。10時半は小学生たちらしい。どうりで観客がだれも居いへんはずや。 寒い中、焚き火にあたりながら待たんとしゃあない。 しかし、時間が経っても観客はほとんど来はらへん。わしをいれて、3、4人ほどやんか。 いくら地味なローカルマラソンとはいえあんまりやないか。走る人は何人くらいって 聞いてみたら合計1000人くらいはエントリーしてるっていう。すごいやないか。 11時になった。スタートしたはずだ。 寒いけど元気が出て来た。もうじきだ。 15分にならないうちに先導者がきた。すぐ後ろをものすごく力強いフォームで ガンガン登って来る人がいる。おもわず拍手する。

しかしまあ、こんな程度の声援やったら力入らへんやろなあって思う。 続いてまたやってくる。

ここからさきはすこしずつ人がかたまってくる。

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九度山暮らしのある日、町石道を歩く-08、金剛峰寺を経て帰る

さて、金剛峰寺は見たし、他に行くには時間が遅い。もうすぐバスが来る。 バス停に座って待っていよう。バス停前も忙しい。

ガイドさんが英語やら、ロシア語?やらで一生懸命説明してはったり、それを 全く聞かないでへたり込んだり、スマホをいじったり、おばちゃん達が、タクシー を捕まえにいったけど断られてまたバス停に戻ってきたり、旅行中の若いカップル が一緒に待っていたり、10分ほどの間にもいろいろあって退屈しない。 そのうちバスがきた。 整理券を取って乗り込む。おばちゃん達はとろうともしない、他にも取らない人は たくさんいてる。どないなってんやろっ、着いたら困るでって心配してたら、 心配無用なのだ。みなさんセット券を持ってはるから見せるだけでええみたい。 心配して損した。 本数の少ないバスやからうまく連絡してるはずやと思ったら、そのとおり、 バスを降りたとたんにケーブルカーが出るからと放送してる。急いで乗らんと 置いていかれるのだ。 ケーブルカー乗り場は階段になってる。急がない人もいてはるんで気が焦る。 突き飛ばすわけにもいかんから順番を待つ。

平日やのに結構混んでる。 景色はええけど、紅葉はまだまだだ。

ケーブルカーが極楽橋に到着したら、電車が待っていて、すぐに発車するそうだ。 連絡よすぎるやんか。

天空なんちゃらって指定席ばっかりと思ってたら自由席もあって助かった。九度山 も停まるそうだ。具合良く帰れる。 結構疲れたけどええ旅やった。自由席側は殆どガラガラやからゆっくりくつろいで 帰ろう。 九度山に着いた。

紀ノ川の上に川霧がびっしり漂ってる。

こんな景色初めて見た。えらい不可思議な風景やんか。 時計を見ると16:15頃、およそ9時間ほどのミニトレッキングだった。 又、トレーニングに来るやろか。 次はどうなるか楽しみだ。 高野山、町石道の話はこれでおしまい。

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九度山暮らしのある日、町石道を歩く-07、大門到着

やれやれ、やっと大門に着いた。登るのはこれでおしまいだ。時計を見ると、 14:40、7時間20分かかってる。標準時間が6時間50分やから、30分オーバーだ。 やっぱり矢立からあとの登り坂がけっこうこたえたんやろなあ。休憩時間を考慮 してもペースが遅かったらしい。

全体を振り返ってみると、最初の2時間はかなりきつかった。そのうち1時間は 特にきつかった。後はほとんど楽な登り下りでむしろ気持ちが良いくらいの山道 だった。矢立からの2時間は一番きつかった。特に最後の1時間はしんどかった。 しかし、全体に耐え難いというほどではないし、山道あるきとしては楽な方だったと 思う。少し時間が余分にかかったけどほぼ想定どおりだ。高低差のきつさより、 7時間以上歩いて腰が大丈夫かというのが今回の試練の目標だったけどそれは クリアできたと思う。

何はともあれここまで来ると別世界だ。

もう高野山。観光客であふれている。 高野山の中はこんな具合らしい。

とりあえず根本大堂を目指さないとバスに乗れない。 こっからは高野山町の中を歩く。今までとは打って変わって平坦、平凡な道だ。

おや、2番町石がある。大門直前の9番町石で終わったんかなって思ってた。

その次は1番町石だ。最初と最後はきちんと置いてあるんやね。

しかし、道路脇にひっそりと看板があるんでうっかりすると見過ごしてしまう から注意しよう。 おお、これが根本大堂か。

これで完走したことになるんかな?やれやれ。 バスの時刻表を見て見ると15:22発だ。これから歩くいていく方向に向かって バスが進むらしい。ということはまだ30分近くあるから、ここでバスを待つ よりは金剛峰寺まで歩いて行こう。 観光というほどの事はできへんし、そんな元気もないけどぷらぷら町を見ながら 歩いていったら丁度ええ。

紅葉はまだみたいやなあ。あちこちに観光客がいてはってスマホでパチパチ写して はる。欧米系の人が圧倒的に多いけどアジア系の人たちもいてはる。 平地ばっかりやと歩くのも愛想なしやなあって思う。 出来るだけゆっくり歩いた筈やのに、すぐに金剛峰寺に着いてしまった。

ここを目的に来たんとちゃうから何を見てええんかわからん。

適当に愛想笑いをして外にでよう。

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九度山暮らしのある日、町石道を歩く-06、大門へあと少し

道路を渡ったあたりから少し雨が小降りになってきたようだ。視界も開けて来た。 そのままぐいぐい登ると、木の間がくれに素晴らしい景色が見えて来た。

雨の上がりかけ独特の霧が出ている。 今日は天気が悪くて辛かったけど、雨模様の日ならではの景色を見る事ができた。

それをもって良しとしよう。 ここからは龍門山を裏から見てるということになるのか?

しばらく行くと又自動車道を横切る。

地図を見て見るとまだ大分ある。頑張らねば。 町石は30番代になってきた。

単調な道が続く。

木の下にいると殆ど雨はかからないけど、木から外れるとしとしと降っている。

鏡石というのがあった。

けどどれが鏡のような石かわからん。後ろの苔むした石のことなんやろか? 真言を唱えると心願成就するらしい。真言ってどう唱えたらええんやろ? 道の横に川が流れている。

こういう道を歩くのはとても気持ちが良い。 沢蟹がチョロチョロしてるから踏まんように気をつけながら歩く。 町石はいつの間にか20番代の下の方だ。カウントダウンが楽しい。 杉林が濃くなって行く。

やっと町石が10代になってきた。

道はだんだん険しくなっていく。カウントダウンだけが頼りだ。1個ずつ数えながら 進む。

とうとう10町まで来た。

この辺はかなりきつい。まだあれを登らんとあかんのかいな。

そこを曲がると、もしかしたら、あそこで登りは終わりやろか?

いやあ、かなりきつかった。

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九度山暮らしのある日、町石道を歩く-05、矢立茶屋から

やっと矢立に着いたらしい。ここは高野山に登る道、花坂の方へ下る道、九度山 の方へ下る道と三つの自動車道が交差するところだ。ちょうどええところに矢立茶屋 がある。昔からやきもち屋さんとして知られていたはずなんやけど、店が閉まって 閑散としてる。もしかしたら今日は定休日なんやろか。 幸い、手前の広場にテントが張ってあってベンチもあって休憩できるように なっている。この雨の中やととてもありがたい。ここで休憩させていただこう。

さて、ここまでどれくらいかかったやろ、時計を見ると12:20、4時間50分 かかったことになる。標準タイムぴったりだ。まあ頑張ったことになるか。 ここで一休みして昼飯にしよう。矢立茶屋が開いてたら、ここであったかいもんを 食おうと思ってたけど、念のために持って来た弁当が役にたつ。

田舎の朝一番のコンビニで弁当を買うとなるとあんまり中身は期待できへん。 これくらいがちょうどええんとちゃうやろか。腹が減ってるんで一瞬で食って しまった。広場のトイレに行って、さてがんばろう。

ここに着く直前の町石が61町やったから、この交差点にあるのが60町、丁度 残り1/3ということか、どうもここからが急登みたいだ。不安やなあ。

いきなり結構きついぞ。

結構ひいひい登る。このあたりで降ってくる人とすれ違った。 「雨ですなあ」といいながら去って行く。この方は下るばっかり、わしは登る ばっかり。 しばらく頑張ってると、「袈裟掛け石」というのに出会った。

弘法伝説はさすがにこのあたり濃厚だ。

ここをくぐれって? そりゃ無理やろ、この雨の中、試す気もしいへん。 つぎは押上石、

こういうのを見ながら息を整えるのがええんかもしれん。

道も少々歩きやすくなってきた。急登もなくなってきた。

おや、雨水につられて沢蟹が動き始めてる。

踏まんように気をつけよう。 とうとう44町になった。

気持ちは早くもカウントダウンを始めてる。 雨はまだやまない。

おや、又、自動車道に遭遇、車に気をつけて横切ろう。

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九度山暮らしのある日、町石道を歩く-04、神田地蔵堂から

途中で追い越された人と、柿畑で柿を獲ってた人以外、今まで人と出会ってなかったんで 急に人声が聞こえ始めるとちょっと嬉しい。 「あっ、惜しい、ちょっと外れた」、「うまいこといかんなあ」 「おっと、バーディやんか、嬉しいなあ」 なんて会話が聞こえる。やっぱりゴルフ場だ。右手の林越しにゴルフ場を見ながら進む。

ゴルフ場が終わるころ、左手にお堂が見えた。これが神田地蔵堂というやつらしい。 その前が少し見晴らしが良い。

ええ感じの農家がある。 では先を急ごう。

ところでトイレはどこなんやろ。しばらく行くと、戻る方向にトイレ1kmと ある。では、二つ鳥居とここの中間にトイレがあったはず、しかしそんな気配 は全くなかった。いったいどこにあったんやろ?不思議だ。 しかし、まあええか、汗にでてしまったのかあんまり行きたくなくなってきた。 町石表示はすこしずつやけどだんだん減って来ている。 とうとう二桁になりつつある。

地図で見ると、このあたりは急登で折り返すまでの比較的なだらかな勾配の道が 続くというふうに書いてあるけどそのとおりだ。 道は単調やからとても長く感じる。時間もどんどんすぎる。しかし、こういう山道 は歩いていて気持ちがいい。この感じやといくらでも歩けそうだ。 あれ、とうとう雨が降って来た。今日の天気予報は昼頃から少雨とあった。出だし はええ天気やったし、もしかしたらこのままぎりぎり持つかな?って思ってた けど甘かった。

それでも木立の中を歩くんで少雨やったらあんまり濡れへん、いけるかなって 期待したけどやっぱり限界になってきた。レインコートを着よう。道が濡れて くると歩き難い。前も見難い。

ひたすら下を向いて歩く。ゆるい登りと長い下りを繰り返す。

国道が見えて来た。

もしかしたら矢立の峠の茶屋のとこに着いたんかもしれん。

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九度山暮らしのある日、町石道を歩く-03、二つ鳥居から

やっと二つ鳥居まで到着した。

時間を見てみる、10時20分だ。出発から2時間50分、ぴったり標準タイムだ。 やれやれ、お茶を飲んで休憩しよう。というても一人やと長居しても暇やし、 腰をかけるとこもない、一息ついただけでとりあえず出発しよう。

町石を数えながらきたけど、不思議なことに数字が減るのはええんやけど増えてる 場合もあるのは勘違いなんやろか? じっくり見ながら歩いてるわけではないん でそうかもしれん。まだまだ120町台やから半分も来てへんということだ。

先は長い。 二つ鳥居までは結構登りが多かったけど、ここからは下りが続く。体には有難い ことだ。そろそろトイレに行きたくなった。あと1kmって看板がある。それ くらいやったら我慢しよう。 白蛇の岩と鳥居という看板があった。

じっくり読んでる暇はないけど、ここで白い蛇をみたら幸せになれるというらしい。

そんなん見いへんかったけど、蛇は嫌いやからちょうどええ、道中の無事と画業上達を祈ろう。 タラタラとした道が続く、と、その時、突然後ろの方でえらく強烈な何かの気配を 感じた。ぎくっと振り返ってみると、最初の気配は遠くやったはずやのにもう すぐそこに気配がある。ダッダッダッダっと若い女性がこっちの方に向かって 来ていたのだ。 「ああ、びっくりした」 「すみません」 と言いながら女性は風のように去っていく。 そんなドラマチックなような話ではないけど、この女性、わしよりは遥かに早い。 あっと言うまに見えなくなった。こないだ、何の気なくたまたまテレビを見て たら、山岳マラソンというのをやっていた。北アルプスから中央アルプス、南アルプス と山を駆け上り、駈け下り、殆ど寝ない、休まないで、わしやったら2日も3日も かかる登山を昼も夜も走り続けて仮眠するだけで1日で駆け抜けていく、なんと 恐ろしい。それでも見てるあいだはすっかり感情移入してしまって自分も山道を 走ってるような気になってるけど、実際にこんな山道とすら言えないとこでも 歩いてるとあんな風にはできへんというのが痛いほどようわかる。しかし、今、 風の様に通り抜けた人は走るとは言わないまでも相当な早足で行ってしまった。 考えてみれば、わしも慎重すぎたんかもしれん。あれが普通の若者の足取りなんやったら わしかて老年とはいえ、もう少しリズミカルに歩いてもええんとちゃうやろか、 ちょっとペースをあげてみよう。

そろそろ、林間にゴルフ場が見えてきたようだ。

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